前立腺がんとは?原因・治療について

前立腺は男性の精液の一部をつくる栗の実の形をした臓器で、膀胱の下・直腸の前にある(左右の部分に分けて、それぞれ左葉、右葉と呼ぶこともある)。前立腺がんは、この前立腺の細胞が何らかの原因で無秩序に増殖を繰り返す疾患である。

前立腺がんは年齢とともに増加し、特に65歳以上の方に多く、80歳以上では20%前後の人に前立腺がんが認められるともいわれている。比較的進行がゆっくりで、寿命に影響を及ぼさないと考えられる前立腺がんもある。

しかし、中には比較的速く進行し、さまざまな症状や障害を引き起こすものもある。進行とともにがんは大きくなり、また、前立腺をおおっている膜(被膜)を破って近くにある精のう、膀胱の一部などに広がっていくものもある。がんがこのように広がることを浸潤という。

前立腺がんの主な原因

前立腺という器官は、男性のみが持っている生殖器になるため、男性しか発症することのないがん種です。

現状、正常細胞がなぜがん化するのか、まだ十分に解明されてませんが、いくつか原因になり得るものをあげます。



生活習慣の原因

■ 食事 : 高脂肪食(動物性脂肪・蛋白質の過剰な摂取)は発症リスクを高めます。また、食の欧米化によって栄養バランスが崩れてしまうこともリスクを高めます。

その他の要因

■ 遺伝 : 親・兄弟に前立腺がん罹患者がいた場合、発症率が5〜11倍にも上がると言われています。

■ 年齢 : 前立腺がんは特に、年齢が高くなるほど多く発症している傾向にあります。診断される人のほとんどは60歳以上ですが、50代から発症しやすいようです。

前立腺がんの主な症状

前立腺がんは他がん種と比べて比較的おとなしく、進行も遅いとされています。

初期症状としては他のがんと同様に、早期の前立腺がんに特有の症状はなく排尿障害などの症状をきっかけに発見されることが少なくありません。

早期の前立腺がんの症状

頻尿 / 残尿感 / 細い尿の流れ / 痛みを伴う排尿 / 血尿 / 精液に血が混じる血精液症  など

特に高齢者では症状の発生率が非常に高いです。

進行した前立腺がんの症状

進行すると骨転移しやすいがんのため、前立腺自体の症状はなく、たまたま腰痛などで骨の検査を受け、前立腺がんが発見されることもあります。また、後期では、体が弱ることで食欲不振や体重減少、疲労、貧血の症状が現れることもあるようです。

  • 前立腺がんの癌細胞が腰仙椎や骨盤に転移したら、腰痛や低背中の痛みを起こす
  • 脊椎の神経を圧迫すると、手足のしびれや麻痺が起きる
  • 体を動かす際や夜間に腰や足の付け根に痛みを感じる
  • 骨折をしやすくなる

前立腺がんの主な治療方法

前立腺がんは早期発見できれば、様々な治療法で対応が可能です。治療の選択としては、がんの大きさ、悪性度、PSA値によって分けられます。それに加え、年齢、全身状態、合併症などの条件も加わってきます。

待機治療
前立腺生検の結果、比較的大人しいがんがごく少量のみ認められ、特に治療を行わなくても余命に影響がないと判断される場合に選択されます。

手術療法
手術の場合、前立腺、精嚢を摘出し尿道と膀胱を吻合する方法を用います。

がんが前立腺内にとどまっており、10年以上の期待余命が期待される場合には、生存率を最も高く保障できる治療法だと言われています。

恥骨後式前立腺全摘除術
下腹部を切開して前立腺を摘出する方法です。※ステージA・Bまでの患者が対象

会陰式前立腺全摘除術
肛門の上を切開して前立腺を摘出する方法です。※ステージA・Bまでの患者が対象

会陰式前立腺全摘除術
腹腔鏡と呼ばれる内視鏡で行う手術の事で、お腹を大きく切らず腹部に小さな穴を開けて手術を行うため、患者の負担が少なくてすむ手術です。

放射線治療
手術療法と同様に、転移のない前立腺がんに対する根治の目的と、骨転移などによる痛みの緩和、あるいは骨折予防の目的に使用されるケースがあります。

内分泌療法(ホルモン療法)
前立腺がんは男性ホルモンに大きく依存していることを利用し、男性ホルモンの働きを抑える治療法です。内分泌療法は転移のある前立腺がんに対して選択されます。

高齢者の場合や患者本人の希望、手術あるいは放射線治療を実施されなかった転移のない前立腺がんに対しても選択されます。また、手術や放射線治療後に再発した場合にも用いられます。

【 ステージ別の治療方法 】

  • ステージA1期 : 待機療法 / 手術療法
  • ステージA2〜B2期: 手術療法 / 放射線療法
  • ステージC期 : 内分泌療法(ホルモン療法) / 放射線療法
  • ステージD期 : 内分泌療法(ホルモン療法)