肝臓がんとは?原因・症状・治療・生存率について

肝臓がんの種類は、大きく分けて2種類あります。はじめから肝臓にできる原発性肝臓がんと、他の臓器から転移して起こる転移性肝臓がんです。原発性肝がんの場合は、肝臓を構成している細胞で分けて、「肝細胞がん」と「胆管がん(胆管細胞がん)」に分けられます。

肝臓がんの主な症状

初期はほぼ自覚症状がないため、胃がんや大腸がんに比べ進行が遅く見つけづらいがんです。ですが、肝臓がんの原因の多くがウイルス性肝炎である認知が広がったことで、ウイルス性肝炎患者の定期検診の受診率が高くなり早期発見されるケースも増えてきています。

沈黙の臓器と呼ばれ自覚症状の少ない肝臓がんですが、進行することで症状が現れます。

主な症状:腹部の圧迫感・痛み、しこり、肝硬変に伴う黄疸、貧血、浮腫、尿の濃染、こむら返り など

特に黄疸(皮膚・白目の部分、尿などが黄色くなる)が現れる場合は、末期まで進んでしまっているケースが多くあります。

さらに腹部大動脈瘤(血管が破裂し、腹部に大量出血する)を引き起こす場合もあり、その場合は腹部の激痛や血圧低下が現れます。また大量出血を引き起こしているため、生命の危機に陥ってしまう状態でもあります。

転移性肝臓がんの症状

腹部の張り・痛み、しこり、黄疸、倦怠感、浮腫などが現れます。ですが、この自覚症状もすでにがんが進行してしまっている状態が多いです。

胆管細胞がんの症状

ほぼ自覚症状がありません。胆管への進行によって黄疸が現れるケースもありますが、発見が困難ながんとも言われています。また胆管細胞がんは、リンパへ転移しやすいことも知られています。

肝臓がんの原因

がんはその多くが原因不明ですが、その中でも「肝細胞がん」は主要な原因がほぼ特定されています。その最も重要な原因はウィルス性感染症の持続感染です。

ウィルス性肝炎の持続感染により、慢性肝炎、肝硬変と移行し、遺伝子の突然変異が積み重なることによって肝細胞がんへ移行してしまいます。

肝炎ウィルスにはA、B、C、D、Eの種類がありますが、肝炎を起因とする肝細胞がんのうち、20%が「B型肝炎」、75%が「C型肝炎」によるものです。

生活習慣の原因

■ 喫煙・暴飲暴食など : 喫煙・暴飲暴食・バランスの悪い食生活・運動不足なども発症リスクを高めてしまいます。
■ 飲酒 : 飲み過ぎなど、肝臓に負担を与えることで発症リスクを大幅にはねあげます。

病気の要因

■ C型肝炎 : 肝炎を起因とする肝細胞がんのうち、75%が「C型肝炎」によるものです。

■ B型肝炎 : 肝炎を起因とする肝細胞がんのうち、20%が「B型肝炎」によるものです。

■ 肥満・糖尿病 : 肝臓に負担がかかることは肝細胞がんのリスクをあげます。

■ 転移 : 他臓器で発症したがんによる転移で、胃がん・大腸がんは特に肝臓への転移が起こりやすいと言われています。

肝臓がんの主な検査・診断

血液検査、腫瘍マーカー、エコー(超音波)検査、CTやMRIなどの画像検査を組み合わせて行われるほか、必要な場合に針生検が選択されます。

血液検査

AST(GOT) : 肝細胞の破壊に伴い血液に流出する酵素
ALT(GPT) : 肝細胞の破壊に伴い血液に流出する酵素
γ-GTP : 胆管内で作られる酵素
血小板数 : 血液を固めるはたらきをもつ

腫瘍マーカー

がんが存在することで血液中に増える物質を腫瘍マーカーと呼びます。これらの各数値により、がんの存在や進行経過を調べますが、2cm未満のがんでは数値に現れない場合があり、完全ではありません。

AFP : 肝細胞ががん化することで作られる物質
PIVKA-II : がん化した肝細胞は凝固たんぱく質を作ることができず、その際に作られる物質
AFP-L3分画 : AFPをさらに詳しく調べるために分離した物質

エコー(超音波)検査
身体の表面に超音波をあて、臓器から返ってくる反射を画像に表す検査です。比較的負担が少なく、がんの大きさや個数などを調べることができます。

CT・MRI検査
CT検査はX線を身体の外側から照射して、身体の断層を画像に表す検査です。MRI検査は身体に電磁波を作用させることで、身体の断層を画像に表す検査です。

肝臓がんの早期発見に有効な検査法になります。

針生検
腫瘍マーカーや画像診断だけで診断がつけられない際に、エコー(超音波)や腹腔鏡と併用して腫瘍組織を採取して調べます。ただし、まれに針生検により腫瘍が腹腔内に散らばる危険があるため、必要性をよく検討した上で行います。

 胆管細胞がんの診断

下記の検査も選択されるケースもあります。

血液検査

AST(GOT) : 肝細胞の破壊に伴い血液に流出する酵素
ALT(GPT) : 肝細胞の破壊に伴い血液に流出する酵素
直接型ビリルビン : 閉塞性黄疸に関連して上昇
LDH : 閉塞性黄疸に関連して上昇
γ-GTP : 胆管内で作られる酵素

腫瘍マーカー

各数値により、がんの存在や進行経過を調べますが、初期には数値に現れない場合があり、完全ではありません。

CEA : 最も一般的な腫瘍マーカーで、胆管細胞がんの存在により数値の上昇が見られる
CA19-9 : 胆管細胞がんを含む消化器系のがんに関連して上昇する物質
CA125 : 胆管細胞がんを含む消化器系のがんに関連して上昇する物質

経皮経肝胆管造影(PTC)

胆管に造影剤を注入し、画像に表す検査です。

■ 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)

PTCが困難な場合に行われます。内視鏡を用い、十二指腸乳頭部から造影剤を注入して画像に表します。

肝臓がんの転移

肝細胞がんと胆管細胞がんは、先に肝臓内に何個もがんを作ってしまう「肝内転移」が特徴的です。また肝細胞がんは、リンパ節転移はあまり見受けられません。

他臓器への転移は、肺・骨・腹膜・脳・胃・副腎などがあげられます。胆管細胞がんに関しては、リンパへの転移が多く見られる特徴があります。

肝臓がんの再発

多くがウイルス性肝炎を起因とする肝硬変が進行してがん化するため、再発率が高いです。

手術で切除することができた場合で

3年以内に約50%

5年以内に約80%

最も数字が高いのは術後1~2年です。

約90%は再び同じ肝臓内で再発する「残肝再発(ざんかんさいはつ)」が多く、再発する度にがんの個数が増えて多発する傾向にあります。

再発を繰り返すうちに、がんが肝動脈以外から栄養を取り込むようになってしまい、抗がん剤などの効果が少なくなる場合があります。また肝機能が低下している場合は、肝動脈塞栓術を行えないケースもあります。

肝臓がんの末期

末期症状は、進行具合・状態などによって個人差が大きく様々です。

肝臓がん末期の主な症状

貧血、体重減少、黄疸、腹水、胸水、浮腫、下痢、発熱、激しい腹痛、全身の激しいかゆみ、全身の倦怠感、急激な食欲不振、自力での栄養摂取が困難な状態になる など

転移での主な症状

呼吸困難、腹部膨満感、消化器官障害、腎不全、食道静脈瘤、出血傾向 など

上記のような症状が現れるということは、肝臓がんの進行はずいぶん進んでしまっていると考えられます。そのため、切除や移植手術などは適応されず、抗がん剤などによる化学療法や緩和ケアが選択されます。