胸腺がんとは?原因・症状・治療・生存率について

胸腺は、心臓の上前、肋骨の裏側にある握りこぶしほどの臓器です。
幼児〜小児期にかけて免疫を担う重要な臓器ですが、成長とともに徐々に退化して最終的には脂肪組織となります。胸腺がんはこの胸腺細胞から発症するがんで2つに分けられます。





 胸腺がん

胸腺がんは胸腺腫の一種と考えられていましたが、現在は別腫瘍として区別されています。胸腺がんはがんの増殖速度が速いことが特徴で、他部位にも転移する性質があります。

胸腺腫

胸腺腫は比較的ゆっくり増殖し、皮膜の外に広がることも稀です。しかし、進行期には周囲の心臓、肺、胸腔、大血管などに広がることもあります。

胸腺がんの原因

胸腺腫や胸腺がんが発症する明確な原因は、今のところ明らかになっていません。免疫異常が原因という説がありますが、医学的な証明はされていません。

がん全般に言えることになりますが、がんは細胞に発生します。体は多くの種類の細胞から構成されていて、普通は体を健康に保ち適切に機能するのに必要な分だけ細胞が育ち、分裂して生産されます。そして古くなると壊れていきます。

しかし、この過程は時々狂う事があり、新しい細胞は必要ないのに細胞が分裂を続け、余分な細胞がかたまりを形成します。このかたまりが「がん」です。

悪性と良性

がんの中には、命に影響がない良性のものと、命に多大なる影響を及ぼす悪性のものがあり、一般的には悪性のものを特に「がん」と呼んでいる事が多いです。

医学的に明確な原因が証明されている訳ではないですが、胸腺腫も胸腺がんも「がん」の一種であれば、一般に言われている生活習慣が原因となっている可能性は高いと言えるでしょう。特に、過度の喫煙・飲酒は身体に与える影響が、非常に大きいとされています。

胸腺がんの主な症状

胸腺がん・胸腺腫の症状には、胸部の痛み、咳、痰、呼吸困難などの症状がありますが、これらの症状が現れることは少なく自覚症状に乏しい特徴があります。

そのため、気付かないうちに広がってしまっていたり、転移が見られたりします。

その他に合併症として、重症筋無力症や赤芽球ろうの併発による貧血症状がみられます。 この合併症は、厚生労働省により特定疾患に指定されている難病で、貧血、易疲労性や脱力、呼吸不全といった症状が起きるため、注意が必要です。



よくみられるの症状

胸部の痛み / 咳 / 痰 / 呼吸困難 など

よくみられる合併症

重症筋無力症 / 赤芽球ろう など

胸腺がんの検査・診断

X線検査、CT・MRI検査、超音波検査による画像検査が行われます。胸腺がんなのか胸腺腫なのかの診断は、針生検や胸腔鏡検査または手術で確定します。

◼︎ 胸部X線検査

X線が体を通過する際のX線の吸収の差によって、体の中の様子を調べる検査です。ある程度腫瘍が大きくないと、発見できません。

◼︎ CT検査

CT検査はX線を身体の外側から照射して、身体の断層を画像に表す検査方法です。胸腺がん・胸腺腫の詳細な位置や状態の他、周辺臓器との関係も調べることができます。

◼︎ MRI検査

MRI検査は身体に電磁波を作用させることで、身体の断層を画像に表す検査方法です。胸腺がん・胸腺腫と、心臓や大血管、骨などとの関係を調べます。

◼︎ エコー(超音波)検査

身体の表面に超音波をあて、臓器から返ってくる反射を画像に表す検査方法です。肝臓や副腎などへの転移の有無や状態を調べます。

◼︎ 針生検や胸腔鏡検査

針生検では、腫瘍に針をさしてその一部を取り出し顕微鏡で調べます。

胸腔鏡検査では、全身麻酔のもと胸に穴をあけ、胸腔鏡により腫瘍組織を採取して調べます。

◼︎ 開胸手術

胸腺がんと胸腺腫の区別を調べるために開胸して腫瘍組織やその状態を調べます。診断とともに切除することもあります。

胸腺がんの治療方法

ステージ(病期)に基づいて、総合的に検討して決定します。

1〜2期の場合は切除手術が中心となり、がんの全切除を目指します。1期で切除が不完全な場合や、2期では放射線治療が併用されます。

3期は浸潤している臓器も同時に切除しますが、切除が難しい場合は術前抗がん剤治療を行うケースがあります。

完全切除が難しい4期では、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン療法、手術などを組み合わせて治療が行われます。

◼ 切除手術

手術では胸腺がん・胸腺腫が発生する胸腺全体に加え、周囲の脂肪組織も併せて切除します。

◼ 放射線治療

γ線やX線をがん細胞に照射することにより、がん細胞を死滅させる治療法です。
術後の残存腫瘍の除去や再発予防の目的や、手術ができな場合にも治療が行われます。また、痛みなどの症状を緩和するためにも放射線治療が行われることがあります。

◼ 抗がん剤治療

他臓器への転移がある場合や、手術ができない場合に抗がん剤治療が選択されます。
また、手術だけでがんを取りきることが難しい場合に、術前に抗がん剤治療が行われることもあります。

◼ ホルモン治療

胸腺がん・胸腺腫では、ステロイドと呼ばれるホルモン剤によってがんの成長を抑えることができ、抗がん剤治療と併用されることがあります。

胸腺がんの生存率

ステージ1期:10年生存率で約80%
ステージ2期:5年生存率で約85〜90%
ステージ3期:5年生存率で約70〜80%
ステージ4期:5年生存率で約30〜40%



胸腺がんの転移・再発・末期

発見時には、すでに転移が認められることがほとんどです。胸腔内の浸潤でとどまっているケースから、他臓器への転移がある場合まで様々です。また、胸腺がんは治療後10年以上経ったとしても、再発する場合もあるため、慎重かつ長期的な経過観察が必要です。

胸腺がんは自覚症状に乏しいために、進行している場合が多くあります。また、末期である4期まで進行してしまうと、5年後生存率も30~40%程度と厳しいものになります。

胸腺がんの転移・再発

胸腺がんはその性質上、発見時には転移していることがほとんどです。胸腔内の浸潤でとどまっているケースから、肺や肝臓などの他臓器への転移がある場合まで様々です。

しかし多くの場合は、胸腔内もしくは胸部に近い部位への転移でとどまります。切除手術が行われ、それだけで完治することもあります。

ただし、胸腺がんは治療後10年以上経過しているにも関わらず、再発する事もあるため慎重かつ長期的な経過観察が必要になります。

胸腺がんの末期

胸腺がんは自覚症状に乏しいために、進行している場合が多くあります。また、末期であるステージ4期まで進行してしまうと、5年後生存率も30〜40%程度と厳しいものになってしまいます。

治療に関しては、胸腺の切除が重視されますが、進行している場合などでは術前に抗がん剤治療を行い、がんを縮小させてから切除する場合もあります。

また、切除が出来ない状況や、転移先のがんと複合した場合にも抗がん剤治療は選択されます。

さらに、切除後に放射線治療が行われることも多く、切除しきれなかった時の対処でもあり、転移先の治療も含めた対処にも用いられます。