家系に乳がんの人で「タモキシフェン」の効果10年続く

家族に乳がんの人がいたり、良性の乳房の病気になったりした場合、薬を飲むと乳がんのリスクを予防できて、飲むのをやめても10年にわたって予防効果が続くという結果が出ている。薬の名前はタモキシフェンだ。

良性の乳房の病気も対象

英国のロンドン大学クイーン・メアリー校を含む研究グループが、腫瘍学専門誌ランセット・オンコロジーのオンライン版で2014年12月10日に報告したもの。タモキシフェンは既に5年にわたって毎日飲むと、乳がんのリスクが抑制できると証明されている。対象となるのは、家族に乳がんの人がいたり、乳房の良性の病気になったりしている人だ。乳がんではない健康な人である。研究グループによると、これまでに臨床試験4件で示された結果だ。研究グループは今回、8カ国7000人以上の35?70歳の女性を対象とした研究のその後をおよそ10年にわたって追った結果を報告した。この研究は5年間にわたってタモキシフェン20mgを毎日飲むという研究だった。



10年以上経過後も30%のリスク減少

追跡期間は16年を中心としてさまざま。乳がんを発症した人は研究開始から10年以内の間では、研究時にタモキシフェンを飲んでいたグループで3579人中163人。ニセ薬を飲んでいた3575人中では226人。統計学的に意味のある差が付いていた。さらに、研究開始から10年以降でも両者には差があった。タモキシフェンを飲んでいたグループでは3343人中88人。ニセ薬を飲んでいたグループでは3295人中124人。リスクが約30%減少していた。「エストロゲン受容体陽性浸潤性乳がん」と「非浸潤性乳管がん」のリスクが最も減少した。減少幅は35%。

日本でも予防の薬を?

タモキシフェンの効果は10年以上経っても変わらず続くというわけだ。日本でもタモキシフェン20mgで後発薬ならば50円前後、予防手段としては保険診療で使えないが、今後、予防薬としても検討してよいのかもしれない。なお、英国では予防的にこの薬を飲むことが推奨されている。欧米で手術後の予防的な使用についても効果がより認められている動きもある(「ホルモン受容体陽性」の乳がん手術後の薬剤投与、「10年」に延長の推奨が出るを参照)。注目されそうだ。

文献情報

Cuzick J et al.Tamoxifen for prevention of breast cancer: extended long-term follow-up of the IBIS-I breast cancer prevention trial.Lancet Oncol 2014 Dec 10 [Epub ahead of print]

Tamoxifen for prevention of breast cancer: extended long-term follow-up of the IBIS-I breast cancer prevention trial. – PubMed – NCBI