がん摘出手術後、乳がんの放射線治療は「部分的」で十分

これまで乳がんの摘出手術後には胸部に全体的な放射線照射が行われてきた。このたび長期にわたる検証の結果、部分的な放射線治療で、副作用を少なくとどめながらも、再発や治療による見た目への影響は違いがなかったと分かった。

がんを摘出した部分だけに放射線照射する

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のミッチェル・カムラバ氏らの研究グループが、外科分野の国際誌であるアナルズ・オブ・サージカル・オンコロジー誌において2015年4月28日に報告している。研究グループが注目した治療法は「加速乳房部分照射(APBI)」と呼ぶ治療だ。「部分的放射線治療」とも言う。乳房の中のがんを取った後に、複数本のカテーテルの束を挿入。そのカテーテルの中に放射性の液体を流し、がんのあった場所の周辺だけを狙って放射線を当てる。治療にかかる期間は1週間以内となる。



5〜7週を1週に

現在主流となっている乳房温存療法では、手術後に乳房全体に放射線を当てる。その期間は通常5週間から7週間に及ぶ。広範囲の放射線照射では、放射線への暴露期間が長くなり、さらなる副作用もある。加速乳房部分照射では、がんの場所に局所的に集中して照射するため、周囲への負担を気にせず一度に高い量の放射線を当てることが可能となる。1週間程度で終わるので、副作用も含めた負担が軽い。研究グループは乳がん手術によって腫瘍を摘出した後、乳房への部分的放射線治療を1週間受けた1000人以上の女性を、平均およそ7年間追跡し、その効果と美容上の予後についても調査した。

美容上の差もない

結果として、最長6週間にわたって乳房全体に放射線治療を受けた女性と比べて、部分的放射線治療法で再発が増えるということもなく、美容上の予後にも大きな違いがないことが分かった。

加速乳房部分照射は日本でも導入が進みつつある治療となっている。今回の結果は選択を考える上でも参考となりそうだ。

文献情報

Breast cancer treatment with fewer potential side effects has equally good patient outcomes, UCLA study showshttp://newsroom.ucla.edu/releases/breast-cancer-treatment-with-fewer-potential-side-effects-has-equally-good-patient-outcomes-ucla-study-showsKamrava M et al. Outcomes of Breast Cancer Patients Treated with Accelerated Partial Breast Irradiation Via Multicatheter Interstitial Brachytherapy: The Pooled Registry of Multicatheter Interstitial Sites (PROMIS) Experience.Ann Surg Oncol. 2015 Apr 28.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25916980