固形がん治療に「PF-03084014」

現在開発中の、固形がんに対する新しい抗がん剤「PF-03084014」の検証が、実際にがんの人たちを対象として行われた。その結果、安全性と有効性が確認され、実用化に向けた次の検証ステップへのゴーサインが出された。「固形がん」は、血液のがん以外のがんの総称。

がんが増えるために「切る」酵素をブロックする薬

米国コロラド大学がんセンターやファイザー社を含む共同研究グループが、がんの臨床研究の専門誌クリニカル・キャンサー・リサーチ誌2015年1月1日号で報告したものだ。

がん細胞を増殖させる原因はさまざまだが、その仕組みの1つに、がん細胞表面の「ノッチ」(Notch)というタンパク質が関わっている。

この場合、ノッチが、「ガンマセクレターゼ」という酵素で切られると、がん細胞に「増えろ」という信号が送られる。

今回検証が行われた抗がん剤「PF-03084014」は、ガンマセクレターゼの働きを邪魔して、がんに「増えろ」と指令できなくする薬だ。




重い副作用は見られず

研究グループは、進行した固形がんを患う64人にPF-03084014を服用してもらい、薬の安全性と有効性を評価した。薬は1日2回、21日間連続で服用してもらった。

1日に飲んだ量は人により違うが、それぞれ1回当たり20mg〜330mgだった。

多かった副作用は、下痢、吐き気、疲れ、低リン血症、嘔吐、発疹、食欲低下だった。これらの副作用は、いずれも軽度から中等度で、重症ではなかった。

一方、副作用を起こすことなく飲める最大の用量は「1日220mgを2回」だった。この結果より、研究グループは、次回の検討は1日に150mgを2回服用で行うことに決定した。

甲状腺がんが消失した人も

抗がん効果も見られ、1人の進行甲状腺がんでは、検査上がんが完全に消失していた。

また、5人はがんが元の3分の2以下の大きさに縮小していた。抗がん効果は、約2カ月から2年以上継続して見られた。今回の結果を受け、PF-03084014の実用化に向けた開発の次のステップに許可が下り、固形がんの進行ステージの人を対象として、現在検証が行われているところである。

文献情報

Messersmith WA et al. A Phase I, Dose-finding Study in Patients With Advanced Solid Malignancies of the Oral Gamma-Secretase Inhibitor PF-03084014. Clin Cancer Res. 2015; 21: 60-67.

A Phase I, dose-finding study in patients with advanced solid malignancies of the oral γ-secretase inhibitor PF-03084014. – PubMed – NCBI

Clin Cancer Res. 2015 Jan 1;21(1):60-7. doi: 10.1158/1078-0432.CCR-14-0607. Epub 2014 Sep 17. Clinical Trial, Phase I; Multicenter Study; Research Support, Non-U.S. Gov’t