悪性黒色腫(メラノーマ)恐さの原点

ほくろのがんとも言われる「悪性黒色腫」が、死亡につながるほど悪性度を高めるきっかけがこのたび確認された。




悪性黒色腫どう生まれ、広がるか

イスラエルのテルアビブ大学を含む研究グループが、分子細胞生物学分野の専門誌モレキュラー・セル誌オンライン版で2015年7月29日に報告した。

研究グループは、皮膚がんは全てのがんの中で最も多いと指摘。その上で、皮膚がんによる死亡のほぼ全てが、2%を占める「悪性黒色腫(メラノーマ)」によると説明する。

米国では過去30年にわたり、悪性黒色腫の発生率が急増しているが、その発生の仕組みはまだ解明されていないという。

遺伝子発現を調べた

悪性黒色腫は、皮膚の表面に当たる「上皮」に発生する、その下にある「真皮」に侵入すると悪性度をより高めていく。

最終的に血流やリンパ菅に侵入して身体の他の器官に転移していく。真皮に侵入する前、悪性黒色腫は皮膚の表面へと広がっているが、皮膚の奥に侵入していくときには方向転換する。

研究グループは、皮膚の中の何らかの要因でこの転換が起こると考えた。

イスラエル中の病院から正常な皮膚細胞と悪性黒色腫の細胞を集め、遺伝子の発現を分析。さらに悪性黒色腫の動きを調べた。

角質との接触が鍵

その結果、悪性黒色腫細胞が離れた上皮の層のうち、ごく表面の角質の層と直接的に接触すると、「ノッチ経路」と呼ばれる信号伝達の経路の働きが活発になると分かった。

関連の遺伝子が悪性黒色腫をより悪質にしていた。

細胞の表面にある「リガンド」という物質と悪性黒色腫が接触するのがきっかけになる。

ノッチ経路を邪魔する薬は既に多くあるため、悪性黒色腫を押しとどめる治療にもつながり得ると研究グループは見る。

悪性黒色腫はがんが進行する期間が長く、悪性黒色腫の段階を調べる手段を見極めようとしている。

文献情報

TAU Researcher Discovers Trigger of Deadly Melanoma

Weblog (Medicine & Health) – American Friends of Tel Aviv University

Golan T et al. Interactions of Melanoma Cells with Distal Keratinocytes Trigger Metastasis via Notch Signaling Inhibition of MITF. Mol Cell. 2015 Jul 29. [Epub ahead of print]

Interactions of Melanoma Cells with Distal Keratinocytes Trigger Metastasis via Notch Signaling Inhibition of MITF. – PubMed – NCBI

Mol Cell. 2015 Aug 20;59(4):664-76. doi: 10.1016/j.molcel.2015.06.028. Epub 2015 Jul 30. Research Support, Non-U.S. Gov’t