進行性の悪性黒色腫(メラノーマ)に全く新しいタイプの免疫療法薬

悪性黒色腫(メラノーマ)の治療で今、新しいタイプの免疫療法薬について、有効性の検証が進んでいる。2本の腕で、がん細胞と免疫細胞を引き合わせる、画期的な薬。名前を、「IMCgp100」と言う。

画期的な新薬候補

英国オックスフォード大学のマーク・R・ミドルトン氏率いる研究グループが、2015年4月18日から22日までに米国フィラデルフィアで開催された米国がん学会年会で発表。

同学会が2015年4月19日に紹介した。皮膚がんの1種である「悪性黒色腫(メラノーマ)」は、皮膚に色を与えるメラノサイトという細胞のがん。

皮膚だけでなく、目や唇などにもできる可能性がある。メラノーマの画期的な新薬(ファースト・イン・クラス)の候補として今注目を浴びているのが「IMCgp100」。

がん細胞を攻撃する体の仕組み「免疫」を利用した薬だ。



2本の腕で突きつける

がんの免疫療法と言えば、「免疫チェックポイント阻害薬」も注目されている(進行性の悪性黒色腫(メラノーマ)に2倍効果の免疫療法薬、ペンブロリズマブ」が有望)。

がん細胞を攻撃する免疫細胞をまひさせて働けなくする「免疫チェックポイント」という仕組みをブロックする薬。最近は、標準的な免疫療法薬となりつつある。

今回のIMCgp100は全く新しいタイプの免疫療法薬。異なる2本の腕を持つ薬だ。一方の腕で、メラノーマ細胞をつかまえる。

そしてもう一方の腕で、近くをパトロールしている免疫細胞「キラーT細胞」をつかまえる。

そしてキラーT細胞にメラノーマ細胞を突きつけて殺させるのだ。

17人で効果を検証

研究グループは昨年の同学会で、IMCgp100の実用化に向けた最初の検証である「第1相臨床試験(フェーズ1)」の経過を報告した。

この試験で、メラノーマの治療にIMCgp100は安全で、一部の人では有効であると確認された。今回は、フェーズ1の続きと、次のステップであるフェーズ2a試験の一部の経過を報告した。

対象者は、進行性メラノーマの17人。このうちの2人は眼内メラノーマ、15人は皮膚メラノーマだ。

治療に用いたIMCgp100の用量は、体重1kg当たり0.6μg(マイクログラム、マイクロは100万分の1)、または1人当たり50μgとした。体重83kgの人が体重1kg当たり0.6μgの投与を受けると、大体50μgとなる計算だ。

完全に消失した人も

治療の結果、17人中、進行ステージの眼内メラノーマの1人はがんが見かけ上完全に消失した。

がんが消えた状態は、治療後4カ月以上続いた。

また、3人でがんが3分の2以下に縮小した。

この3人のうち2人は、治療から18カ月以上経った現在もがんが大きくならず小さくなったままだ。がんの縮小効果が見られた人の中には、免疫チェックポイント阻害薬が効かなかった人も含まれていた。

ミドルトン氏は、「IMCgp100が完全に有効と判断するにはまだ早すぎるが、今のところ結果は良好だ」と語っている。対象人数をさらに増やして今後も検証を続けていくとのことだ。

文献情報

Mark R. Middleton et al. New Immunotherapy Yields Long-lasting Responses in Some Patients With Advanced Melanoma, American Association for Cancer Research. 2015 Apr 19. [Epub ahead of print]

http://www.aacr.org/Newsroom/Pages/News-Release-Detail.aspx?ItemID=697#.VTYsGJO5XFQ