転移性の悪性黒色腫(メラノーマ)に「ニボルマブ」、イピリムマブの組み合わせも有効

治療歴のない転移性黒色腫の場合、「ニボルマブ(一般名、商品名はオプジーボ)」のみ、または「ニボルマブ」と「イピリムマブ(一般名)」を組み合わせて治療を行うと転移のない生存が長いことが分かった。

英ロイヤル・マースデン病院のジェームス・ラーキン氏らの研究グループが、有力医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌において2015年5月31日に報告している。





ニボルマブとイピリムマブで平均生存は11.5カ月

ニボルマブは、「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる治療の一つ。Medエッジで紹介してきた通り「免疫療法」の一つ。

免疫は、体にもともと備わり、感染症やがんをはじめ病気の原因を攻撃する仕組み。

免疫の暴走を防ぐ仕組みになるが、がん細胞と関係すると問題になる。一つは、「PD-L1」「PD-1」というタンパク質が関係した仕組みがある。

PD-L1というタンパク質をがんが持ち、人間の免疫細胞の持っているPD-1というタンパク質にくっつき免疫をまひさせる。そうなるとがんを攻撃できなくなる。

さらに、「CTLA4」というタンパク質で免疫にブレーキをかける仕組みもある。

ニボルマブはPD-1を邪魔する薬で、イピリムマブはCTLA-4を邪魔する仕組み。

転移した悪性黒色腫に有効と考えられている。

研究グループは、転移性黒色腫の患者を対象として、ニボルマブのみ、ニボルマブとイピリムマブ、イピリムマブのみでの効果を比べて検証した。

進行した黒色腫患者で検証

過去に治療を受けたことがなく、切除不能なステージ3から4の黒色腫患者945人を3等分し、ニボルマブのみ、ニボルマブとイピリムマブ、イピリムマブのみで治療を受けるグループに分けた。

進行のない平均生存は、ニボルマブとイピリムマブで11.5カ月、イピリムマブのみで2.9カ月、ニボルマブのみで6.9カ月だった。

PD-1を持っている腫瘍がある場合はさらに効果が高くなる。進行のない平均生存は、ニボルマブとイピリムマブ、ニボルマブのみのグループで14.0カ月だったが、PD-1リガンドを持たないがんのある場合、進行のない平均生存はニボルマブとイピリムマブのグループにおいて11.2カ月で、ニボルマブのみのグループの5.3カ月よりも長かった。

治療に伴うグレード3か4の有害事象は、ニボルマブのみのグループの16.3%、ニボルマブとイピリムマブのグループで55.0%、イピリムマブのグループの27.3%で見られた。

副作用の比率は低くはないものの、進行を1年近く止める効果はかつての治療選択の乏しさからすると前向きな成果と見られるだろう。

新しい治療により、従来うまい治療の少なかった悪性黒色腫の治療の選択肢は充実する方向にある。

文献情報

Larkin J et al. Combined Nivolumab and Ipilimumab or Monotherapy in Untreated Melanoma. N Engl J Med. 2015 May 31. [Epub ahead of print]

Combined Nivolumab and Ipilimumab or Monotherapy in Untreated Melanoma. – PubMed – NCBI

N Engl J Med. 2015 Jul 2;373(1):23-34. doi: 10.1056/NEJMoa1504030. Epub 2015 May 31. Clinical Trial, Phase III; Comparative Study; Randomized Controlled Trial; Research Support, Non-U.S. Gov’t