慢性リンパ性白血病に効果を発揮

がんに対する治療法が日々進歩している中で、慢性リンパ性白血病(CLL)は、いまだに難病だ。今回、新しい抗がん剤候補「FK866」が、さまざまなタイプの慢性リンパ性白血病の細胞を自殺に追い込む効果があると判明した。

古いDNAの再利用を邪魔する「FK866」

カナダのマニトバ細胞生物学研究所を中心とした研究グループが、がんの臨床研究の国際誌クリニカル・キャンサー・リサーチ誌2014年9月15日号で報告したものだ。「ニコチンアミドホスホリボシル基転移酵素(NAMPT)」は、不要になったDNAを再利用して新しいDNAを作る場面で働く酵素だ。DNAは遺伝情報を保つ分子で、細胞が増えるためには必須だ。一方、NAMPTは、がん細胞の中でよく働くと知られている。がんが増えやすくしているわけだ。ここを邪魔する薬「FK866」は抗がん剤として期待できる。今回研究グループは、FK866が慢性リンパ性白血病に効くかどうかを、実際に白血病の人から採取したがん細胞を使って調べた。

白血病細胞を自殺に追い込んだ

病理学的、および分子生物学的に解析を行った結果、FK866はNAMPTが古いDNAを再利用して新しく作り直す働きを邪魔して、白血病細胞を自殺に追い込んでいると分かった。この際、白血病細胞に出ていて予後に関係するタンパク質、いわゆる「予後バイオマーカー」は、人によりさまざまだったが、これらのマーカーによらず、FK866は効き目があった。ただ、増殖の速い白血病の場合には、FK866 を多く使う必要があった。

悪性度が高いタイプにも効果的

また、染色体の「17p13.1」という部分が欠失している、悪性度の高いタイプの白血病にもFK866は効果的だった。抗がん剤「フルダラビン」が効かない白血病細胞にもFK866は効果があった。

フルダラビンと併用で相乗効果も

さらにフルダラビンとFK866を併用すると相乗効果が見られた。FK866はまだ研究段階だが、フルダラビンとの併用が認められれば、薬の効果を高めたり、用量を減らしたりできるだろうと研究グループは見ている。

文献情報

Gehrke I et al. On-Target Effect of FK866, a Nicotinamide Phosphoribosyl Transferase Inhibitor, by Apoptosis-Mediated Death in Chronic Lymphocytic Leukemia Cells. Clin Cancer Res. 2014 ;20:4861-72.

Clin Cancer Res. 2014 Sep 15;20(18):4861-72. doi: 10.1158/1078-0432.CCR-14-0624. Epub 2014 Aug 29. Research Support, Non-U.S. Gov’t