膵臓癌を前段階で調べる方法

早期発見が難しく、死亡率が高い膵臓がん。がんになる前段階の組織を調べたところ、がんになりやすい組織では、6種類の「マイクロRNA」が減っていると分かった。米国Hリーモフィットがんセンターの研究グループが、国際的なオンライン科学誌プロスワン(PLoS One)誌で、2015年1月21日に報告したものだ。

マイクロRNAで判断できるか?

膵臓がんの大半は「膵管腺がん(PDAC)」という種類のものだ。膵管腺がんは、少し難しい名前だが「膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)」という腫瘍の悪性度が高まったものだ。

ところがIPMNが全て膵臓がんになるわけではなく、そのまま放っておいても大丈夫なものと、がんになるリスクが高く手術で摘出した方が良いものがある。現状ではその見極めは非常に難しい。

今回研究グループは、その見極めに、マイクロRNAが使えないかと考え、解析を行った。マイクロRNAは、細胞に存在する20〜25塩基ほどの短いRNAで、遺伝子が使われる量の調節などを行っている。

RNAは遺伝情報を保つDNAと同じ核酸の仲間だ。現在1000種類以上が見つかっており、その一つ一つに「miR番号」が付けられている。

マイクロRNAアレイで調べ比較

研究グループはまず、合計28人から手術で摘出されたIPMNの組織を検査し、19個はがんになるリスクが高いもの、9個はリスクが低いものであると確かめた。

確認後、全てのIPMN組織につき「マイクロRNAアレイ」を行った。「マイクロRNAアレイ」は、これまでに知られているマイクロRNAのうち、どれがその組織に存在するか、いっぺんに調べられる方法だ。

その結果、がんになるリスクが高いIPMNでは、6つのマイクロRNA(miR-100、miR-99b、miR-99a、miR-342-3p、miR-126、miR-130a)の量が少なくなっていた。

がん遺伝子を抑えられなくなっていた

これまでの研究論文によると、これら6つのマイクロRNAは、がん遺伝子にくっついて、その働きを抑え、がんにならないように、あるいはがんが進行しないために働いているものであるとのことだった。

そこで今度は「マイクロアレイ」という、たくさんの遺伝子をいっぺんに解析する方法で、がんになるリスクが高いIPMNと低いIPMNで、働いている遺伝子を比較した。

すると、がんになるリスクの高いIPMNでは、miR-130aがくっつく「ATG2B」「MEOX2」、miR-342-3pがくっつく「DNMT1」、さらにmiR-126がくっつく「IRS-1」という遺伝子の働きが増えていると分かった。

これらはいずれもがん遺伝子だった。マイクロRNAはそれぞれ少なくなっており、がん遺伝子を抑えられなくなっていると見られた。今後、膵管腺がんの早期治療のための診断や治療にマイクロRNAが使われる日が来るかも知れない。

文献情報

Permuth-Wey J et al.A Genome-Wide Investigation of MicroRNA Expression Identifies Biologically-Meaningful MicroRNAs That Distinguish between High-Risk and Low-Risk Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms of the Pancreas.PLoS One. 2015;10:e0116869.

PLoS One. 2015 Jan 21;10(1):e0116869. doi: 10.1371/journal.pone.0116869. eCollection 2015. Research Support, N.I.H., Extramural; Research Support, Non-U.S. Gov’t