大腸癌の転移に「パニツムマブ」が効果

遺伝子「KRAS」が野生型である転移のある大腸がんの治療のため、従来の薬物療法に新規の薬剤を追加したところ、がん進行のない生存期間が延ばせるという結果が出ている。延長期間が最も長くなった人から短かった人までを並べたときの真ん中の人の延長期間、つまり中央値でおよそ1。4カ月の延長効果。転移のある大腸がんの治療はいまだ難しいが、前進とは言えそうだ。フランスの腫瘍内科系を中心とした国際共同の研究グループが、欧州腫瘍内科学会が発行するアナルズ・オブ・オンコロジー誌2014年7月号で報告したものだ。

副作用が少ないと見られる「抗体」

研究グループは、直腸と結腸のがんで転移のあるケースに対して、初回の治療に用いられる薬剤療法である「FOLFOX(フォルフォックス)4」に「パニツムマブ」という薬を追加したときの効果を検証した。結腸、直腸、盲腸を合わせて大腸と呼び、今回は直腸と結腸のがんに対する治療を調べている。パニツムマブは、上皮成長因子受容体、英語の略称でEGFRと呼ばれる、がんの細胞の表面の物質に取り付いて、がんの増殖を抑制する薬。「抗体」と呼ばれる特定の物質にだけ効く薬で、余計な作用を出しにくいので副作用が少ない特徴がある。KRASと呼ばれる遺伝子が野生型ではなく、変異型である場合にはパニツムマブが効きにくいと分かっている。KRASは、前述のEGFRと共に機能して、細胞の増殖を促す機能を持つと見られている。FOLFOX4は、5-FU、ロイコボリン、オキサリプラチンという薬を同時に使う薬物療法。

中央値での延長

研究グループは、KRASが野生型である直腸および結腸のがんを持つおよそ1200人を対象として、FOLFOX4だけを実施した場合と、さらにパニツムマブを加えた場合の2グループに分けて、効果を比べた。この結果、がんの進行がない生存期間は、FOLFOX4だけであると8.6カ月であり、パニツムマブを加えると10.0カ月と延長した。薬の追加で期待できる効果として、今後、参照されることになる。

文献情報

Douillard JY et al.Final results from PRIME: randomized phase III study of panitumumab with FOLFOX4 for first-line treatment of metastatic colorectal cancer. Ann Oncol. 2014;25:1346-55.

Ann Oncol. 2014 Jul;25(7):1346-55. doi: 10.1093/annonc/mdu141. Epub 2014 Apr 8. Clinical Trial, Phase III; Randomized Controlled Trial; Research Support, Non-U.S. Gov’t