糖尿病だとがんの死亡率が高くなるのか?

糖尿病になっていると、がんになった場合に、糖尿病ではない患者に比べて死亡率が非常に高いことが知られている。その理由の一端は、薬の飲み方にあるのかもしれない。オランダの研究グループが、糖尿病に関する専門誌ダイアベトロジア誌のオンライン版で 2015年2月1日に報告した。

薬を持ち歩く割合の変化を見る

1998年から2012年に血糖降下薬を服用し始めた人で、オランダのアイントホーフェンがん登録「ファーモ(PHARMO)」と呼ばれるデータベースの対象区域に住む5万2228人の中から、3281人のがんにかかっている人と、1万2891人のがんにかかっていない人を選んで、調査を行った。どちらのグループも平均年齢は68歳。薬を持ち歩いている割合を、薬をきちんと使っているかどうかの指標とした。これまでの研究の多くは、糖尿病と血糖を下げる薬が、がんの治療効果に及ぼす影響を扱ったものが多い。今回は、糖尿病にかかっている人の精神的な面と薬を飲む習慣に光を当てたのが特徴だ。がんと診断された後に、きちんと血糖を下げる薬を飲んでいるかを調査した。

膵臓がんで減少ペースが急に

がんの診断を受ける前には、薬を持ち歩く割合は月に0.10%の割合で増加していると分かった。一方、がんと診断された途端に薬を持ち歩く割合が6.3%急降下した。その後も月に0.20%の降下が見られた。前立腺がんや乳がんでは薬を持ち歩く割合に大きな減少はなかった。食道がん、肝がん、胃がん、膵臓がん、肺がんでは大きな落ち込みがあった。特に肝がんでは35%、食道がんでは19%、肺がんでは15.2%の減少があった。月ごとの減少傾向で大きかったのは膵臓がんで、月に1%近く減少していた。ステージ4の進行がんの患者では10.7%減少した。がんの診断が糖尿病やその他の病気の薬の服用にきわめて深刻な影響を及ぼしていることになる。延命率の低さにつながっている可能性がある。研究グループは注意を促す。日本でも同じような傾向があるかもしれない。がんにも影響しかねないだけに意識的に薬は続けるようにしたい。

文献情報

Zanders MM et al.Impact of cancer on adherence to glucose-lowering drug treatment in individuals with diabetes. Diabetologia. 2015 Feb 1. [Epub ahead of print]

Diabetologia. 2015 May;58(5):951-60. doi: 10.1007/s00125-015-3497-8. Epub 2015 Feb 1. Research Support, Non-U.S. Gov’t