分子標的薬「スニチニブ」「ソラフェニブ」腎臓癌の再発を防ぐ効果なし

腎臓がんの切除手術の後、補助化学療法として分子標的薬「スニチニブ」または「ソラフェニブ」を1年間飲み続けても、がんの再発を防ぐ効果は認められないと分かった。

手術だけでは再発しやすい

米ペンシルベニア大学、アブラムソンがんセンターのナオミ・B・ハース氏率いる「ECOG-ACRINがん研究グループ」が、2015年2月26日から28日に米国オーランドで開催された、泌尿生殖器がんシンポジウムで発表した内容を、同校のホームページで2015年2月23日に公開したものだ。腎臓がんの場合、通常切除手術が選択されるが、より長く生きるためには手術後に、転移や再発を防ぐ目的で行われる抗がん剤治療「補助化学療法(アジュバント療法)」が必要になる。手術後に何も治療をせずにいると、多くの人で再発が起きてくる。腎臓がんの進行ステージの補助化学療法には「ソラフェニブ」または「スニチニブ」という薬が使われている。どちらの薬も、がん細胞の増殖を助ける酵素「チロシンキナーゼ」を狙い撃ちにする分子標的薬。体内の他の部分に腎臓がんが「転移」するのを防ぐ効果があるとして米国食品医薬局(FDA)に認可されたものだ。

再発は防げず

研究グループは今回、これらの薬には腎臓がんの「再発」も防ぐ効果があるのかどうかを検証した。対象者は、腎臓がんの米国人とカナダ人約2000人。ランダムに3つのグループに振り分けられ、腎臓がんの切除手術を受けた後、それぞれ(1)ソラフェニブ(2)スニチニブ(3)ニセ薬(プラセボ)を1年間飲んでもらった。その結果、がんの再発なしに生きていた平均年数は、どのグループもほとんど変わらず、ソラフェニブで5.6年、スニチニブで5.6年、ニセ薬で5.7年だった。

再発ゼロを目指し研究は続く

研究グループは現在、薬を飲む期間を延ばしたり、薬の種類を変えてみたりして、腎臓がんの再発を真に防げる補助化学療法の探究を続けているとのことだ。さらに、今回の検証に参加した人たちは、血液と尿を研究材料として提供することに同意し、薬を飲み始める前に全員提供した。また、がんが再発した人は、その時点で再度提供している。研究グループは、「がんの転移や再発を起こす人がいる一方で、どちらも起こさない人がいる、その違いが何なのか」を知る手がかりなどを得るために、これらの提供された血液と尿を分析し、研究を続けている。検証終了後、研究を続けて4年が経った。がんの克服を目指し、研究はこれからも続く。

文献情報

Haas NB et al. Penn Medicine Physician Finds No Preventive Benefits for Widely Used Kidney Cancer Drugs. Penn Medicine. 2015 Feb 23.

Two widely used targeted therapy drugs— approved by the FDA for use in metastatic kidney cancer —are no more effective than a placebo in preventing return of the disease to increase life spans of patients suffering from advanced kidney cancer after surgery, according to new results to be presented by a researcher at the University of Pennsylvania’s Abramson Cancer Center (ACC) during the 2015 Genitourinary Cancers Symposium.