痛み止めの薬「アスピリン」は癌予防につながる?

痛み止めの薬「アスピリン」。毎日飲むと、炎症を抑える効果から、がんのリスクが下がるという話もある。実際に、毎日アスピリンを飲むと、普段から血液中に炎症物質が少なくなっているのか?このたび検証が行われた。

炎症を抑えるアスピリン

米国立がん研究所を中心とした研究グループが、がん予防についての専門誌キャンサー・エピデミオロジー・バイオマーカーズ・アンド・プリベンション誌で2015年2月23日に報告した。痛みや炎症を抑える薬「アスピリン」。一般に広く使われている。がんは慢性的な炎症から発症すると昔から言われている。炎症を抑えるアスピリンを毎日飲めば、がんのリスクが下がるという報告が、これまでにいくつか出ている。炎症が起きるとさまざまな炎症物質が血液に出てくる。それらは炎症が起きているかどうか調べるための指標(炎症マーカー)として使われる。今回研究グループは、アスピリンを飲むと、実際に血液中の炎症マーカーの値が下がるかどうかについて、検証を行った。

78の炎症マーカーを調べた

米国立がん研究所は以前、前立腺がん、肺がん、大腸がん、卵巣がんスクリーニング試験(PLCO試験)」という大規模な試験を行った。これは、がん検診を行えば、そのがんによる死亡が減るかどうかを調べたものだ。今回、この試験に参加した55歳から74歳の男女1819人から採血をし、血液中の78の炎症と関係のある検査値(炎症マーカー)を測定した。また、採血の1年前からアスピリンとイブプロフェンをどのくらい飲んできたかについて、アンケートを取った。イブプロフェンは、同じく痛みや炎症を抑えるが、アスピリンとは別の薬。その答えから、「たまに(月に4錠以下)」「少ない(週に1〜4錠)」「普通(1日1錠)」「多い(毎日2錠以上)」の4つの程度に分け、炎症マーカーと薬を飲む頻度との関連性を統計的に解析した。

炎症マーカー下がらず

結果、アスピリンを飲んでも、血中の炎症マーカーの値に、統計的に意味のある変化は見られなかった。ただ、「CCK15」「sVEGFR2」「sTNFR1」の値が低下、「CCL13」「CCL17」「IL4」の値が上昇する傾向は見られた。イブプロフェンを飲んでも、統計的に意味のある炎症マーカーの変化は見られなかった。毎日アスピリンを飲んでも、炎症マーカーの間に顕著な関係は見られなかった。アスピリンを毎日飲めば、慢性炎症が抑えられてがんのリスクが下がるのか。さらなる検証が必要だと研究グループは述べている。

文献情報

Lang Kuhs KA et al. Association between Regular Aspirin Use and Circulating Markers of Inflammation: A Study within the Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2015; 24: 825-32.

Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2015 May;24(5):825-32. doi: 10.1158/1055-9965.EPI-14-1363. Epub 2015 Feb 23. Research Support, N.I.H., Intramural