乳癌の治療前に「VEGF-A検査」

乳がんに抗がん剤ベバシズマブ(一般名、商品名はアバスチン)を追加するか否か。その判断のために「VEGF-A検査」と呼ばれる検査は有効である可能性があると報告されている。

抗がん剤追加の判断とは

スイスのバーゼル大学医薬品研究所を中心とした研究グループが、2015年5月にベルギーのブリュッセルで開催された「インパクト(IMPAKT)乳がん会議」で報告しているものだ。

研究グループは、乳がんの性質に関わる「ホルモン受容体(エストロゲンまたはプロゲステロン)」を持っており、「HER-2」というタンパク質を持たない乳がんの女性を対象として、VEGF-A検査の利用が意味を持つか検証している。VEGF-Aは「血管内皮増殖因子」と呼ばれるがんの増殖を促す物質。

ベバシズマブは、VEGFを邪魔するので、薬の効果があるかをあらかじめ予測するために使える可能性がある。

転移を伴わない生存期間について830人の女性のデータに基づいて、VEGF-A検査を実施した場合に、効果がどれくらい得られるかを計算している。

「800万円」の価値は

ベバシズマブを使わないよりも、VEGF-A検査で450pg/mL(pgはピコグラム、ピコは1兆分の1)となるのを境に薬の使用を判断する治療が有効性は出てくるという結果。

1万1191ユーロ、日本円およそ150万円が追加でかけて、生活の質の保たれた生存期間(QALY)として0.189年の延長につながると計算している。

生活の質の保たれた生存期間を1年延ばすためにかかる費用は5万9161ユーロ、日本円で800万円。

研究グループは、VEGF-A検査はベバシズマブ追加の判断に有効となり得ると見ている。費用対効果についてはがん治療では繊細な問題。今後も検証は進むのだろう。

文献情報

VEGF-A testing could be cost effective when deciding whether to add bevacizumab to standard chemotherapy