ビタミンDサプリを飲んだら皮膚癌は予防できる?

ビタミンDを高用量で服用した場合、皮膚のタンパク質にどのような変化が現れるのか、このたび検証が行われた。皮膚がんの予防薬としてのビタミンDの応用を視野に入れてのパイロット研究だ。米国アリゾナ大学がんセンターを中心とした研究グループが、がん予防研究の専門誌キャンサー・プリベンション・リサーチ誌2015年6月号で報告した。

皮膚への効果は?

ビタミンD(VD)は、カルシウムの吸収を助け、骨や筋肉を維持する大切なビタミン。日光に当たると皮膚で作られる。これまでにビタミンDの研究のために行われてきた実験で、ビタミンDのサプリメントが皮膚がんの予防になりそうだと分かっている。実際の人間では、ビタミンDと皮膚がんのリスク低下の関係について、いくつか研究は行われているものの、まだ結論は出ていない。今回研究グループは、ビタミンDを飲むと、皮膚が活性化されて良い影響が見られるのかどうかを調べた。ビタミンDは、ビタミンD2とビタミンD3の2種類あるが、今回飲んだのはビタミンD3(コレカルシフェロール)だ。

ビタミンD不足を補う

対象者は、25人。全員、血液検査でビタミンD不足と判明した人だ。具体的には、血中に「25‐ヒドロキシビタミンD」という形で存在しているビタミンDの測定値が、30ng/mL(ngはナノグラム、ナノは10億分の1)未満だった。また、この人たちは全員、腕に「光線性皮膚炎」を起こしていた。これは、光に当たることが原因で起こる皮膚炎だ。平均年齢は57.8歳、男性8人女性17人、肥満の指標BMI値の平均は29.7だった。BMIは25以上が過体重、30以上だと肥満と判断される。この25人に、高用量のビタミンD(5万単位)を週に2回、8週間から9週間飲み続けてもらった。ビタミンDを飲む前と飲んだ後に(1)炎症が起きている部分の皮膚(2)起きていない部分の皮膚(3)良性のあざがある11人からはその部分を一部採取させてもらい、皮膚への効果を検証した。

「個人差」を念頭に

まず、高用量のビタミンDを服用すると、血中のビタミンD濃度は上昇すると確認できた。皮膚の細胞には、ビタミンDを作用させるために受け止める役割の「ビタミンD受容体(VDR)」がある。高用量ビタミンDを飲んで受容体の数が増えたかどうか調べたが、採取したどの皮膚組織でも、受容体の数にほとんど変化は見られなかった。一方で、飲んだビタミンDを、活性型ビタミンDに変える酵素「シトクロムP450-24(CYP24)」は増加していた。炎症を起こした皮膚では平均1.9倍近く、炎症を起こしていない皮膚では平均1.3倍ほど増加していたが、個人差が大きかった。

変化を確認、「カスパーゼ14」

11人から採取したあざの部分では、ビタミンD受容体が、他の組織に比べて平均2割ほど、CYP24の量は平均5.4倍ほど多い傾向があった。ただ、こちらも個人差が大きかった。「カスパーゼ14」は、ビタミンDによって誘導され、皮膚の構成や保湿に関与するタンパク質。高用量ビタミンDを飲んだ後、炎症を起こした皮膚でのカスパーゼ14の量は、5割ほど増加した。この増加は、いろいろ調べた中で唯一、個人差が小さく、統計学的に顕著な差として確認された。今回、ビタミンDを飲んだ場合の、ビタミンD受容体とCYP24の変化は、個人差が大きいと判明した。この事実は、今後、皮膚がんの予防薬としてビタミンDの応用を考える場合に、考慮すべき重要事項であると研究グループは述べている。

文献情報

Curiel-Lewandrowski C et al. Pilot Study on the Bioactivity of Vitamin D in the Skin after Oral Supplementation. Cancer Prev Res (Phila). 2015; 8: 563-9.

Cancer Prev Res (Phila). 2015 Jun;8(6):563-9. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-14-0280. Epub 2015 Apr 2. Research Support, N.I.H., Extramural; Research Support, U.S. Gov’t, P.H.S.