新技術「MSR」を発表-米国ハーバード大学

がんや感染症に対する攻撃力高める新しい技術が登場するかもしれない。「メソポーラスシリカロッド(MSR)」という技術だ。米ハーバード大学のキム・ジンウー氏らの研究グループが、有力生物学誌のネイチャー・バイオテクノロジー誌で2014年12月8日に報告している。

極細極小の粒子を注射

メソポーラスシリカロッドは、体内の免疫力を強化するための技術だ。

ごく細かい粒子で、拡大するとロッドの名の通り棒状となっている。

長さは88μm(μは100万分の1)、直径は4.5μmだ。ここに細胞が中に入り込めるくらいの細かい穴が無数に空いている。体の中で細胞にとっての「生け簀(いけす)」のように利用するところが変わっている。

免疫細胞を集める

免疫力を強化するのは、ここに免疫細胞を集めることで実現する。免疫とは、体の異物に対する防御力につながる機能だ。

本来、体に備わっている機能で、さらに、その機能を生かして、感染症に対するワクチン、最近ではがんワクチンなど、病気の治療への応用が進んできた。免疫に関わる要素は、いろいろある。

代表的なものは、がん細胞や感染症に攻撃をしかける「T細胞」、異物に取り付いて無力化する「抗体」を作り出す「B細胞」、不要なものなどを取り込んで消化する「マクロファージ」など。

その上に、いろいろなホルモンの類も関係して異物を排除していく。こうした免疫に関わる細胞が集うための生け簀にして互いの連携を強化したりすると見られる。

攻撃力を蓄える基地に

研究グループは、ネズミの皮膚の下に、注射でこのメソポーラスシリカロッドを注射して、免疫細胞がどう集ってくるかを検証している。結果として、免疫に関わる樹状細胞が集結。

さらに、異物への対抗に欠かせないT細胞の中でもヘルパーT細胞、細胞障害性T細胞をはじめとした免疫を担う細胞を増大させることに成功した。ごく簡単な方法で、異物に対抗する仕組み。

この生け簀の中で攻撃力をうまく蓄えられるようにすれば、がんや感染症を攻撃するための強力な基地になり得る。

文献情報

Kim J et al. Injectable, spontaneously assembling, inorganic scaffolds modulate immune cells in vivo and increase vaccine efficacy. Nat Biotechnol. 2014 Dec 8. [Epub ahead of print]

Nat Biotechnol. 2015 Jan;33(1):64-72. doi: 10.1038/nbt.3071. Epub 2014 Dec 8. Research Support, N.I.H., Extramural; Research Support, Non-U.S. Gov’t; Research Support, U.S. Gov’t, Non-P.H.S.