癌攻撃の「T細胞」どう温存する?

がんや感染症など病気に対抗する「免疫」。その機能をうまく温存して、攻撃力を保つ仕組みがあるようだ。がんの治療で注目される「免疫チェックポイント阻害薬」とも関係しそうだ。

病気に対抗する「免疫」

米国ペンシルベニア大学を中心とした研究グループが、実験分野の国際誌であるジャーナル・オブ・イクスペリメンタル・メディシン誌で2015年6月に報告。同大学が紹介している。

免疫の一翼を担っているT細胞に注目している。

T細胞は、がん細胞のほか、HIVやC型肝炎ウイルスを攻撃するもので、場合によっては長期にわたって攻撃し続ける必要がある。問題は、T細胞そのものが尽きてしまう可能性があるところだ。攻撃力の喪失につながると病気に対抗しづらくなる。

「ブレーキ」のために枯渇か

研究グループは免疫力を抑える仕組みである「免疫チェックポイント」と呼ばれる仕組みが関係しないかと検証している。

具体的には、ここに関与するブレーキの役割を果たしている「PD-1」と呼ばれるタンパク質があると、免疫力を抑えるにとどまらず、T細胞の枯渇にも関係するのではと疑った。

そこで動物実験でPD-1をなくしてみたところ、T細胞の枯渇がなくなるというわけにはいかなかった。

ブレーキが外れて免疫力を一時的に高める効果があり、その後はむしろ免疫の機能をうまく維持できなくなった。研究グループでは、いわば「燃え尽き状態」に陥ったと説明している。

T細胞予備軍を保つ?

ここからPD-1の役割としては、免疫力を抑えながら、戦闘力を持ったT細胞予備軍を温存させているのではと研究グループは想定している。

PD-1をめぐっては免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるタイプが注目されている。

その効果にも関わってくる。免疫力は、病気に対抗するには欠かせない体に備わる機能。どう力を強めるか、検討はまだ続きそうだ。

文献情報

Sometimes even cells get tired. When the T cells of your immune system are forced to deal over time with cancer or a chronic infection such as HIV or hepatitis C, they can develop