抗がん剤「MEDI-573」、安全性と有効性

がんは大きく分けると「固形がん」と、白血病などの「血液のがん」の2種類ある。このたび、固形がんに対する抗がん剤「MEDI-573」の検証が、固形がんの進行ステージの人たちを対象として行われ、その安全性と抗がん作用が確認された。

IGF1、IGF2を邪魔して抑える薬

米国ミネソタ州のメイヨークリニックを中心とした研究グループが、がんの臨床研究の国際誌クリニカル・キャンサー・リサーチ誌2014年9月15日号で報告したものだ。がん細胞の成長や増殖を助けるタンパク質の1つに「インスリン様成長因子」(IGF)がある。IGFはIGF-1、IGF-2の2種類あり、血液に乗って全身に回っている。抗がん剤「MEDI-573」は、別名「抗IGFモノクローナル抗体」といい、IGF-1、IGF-2のどちらにもくっついて邪魔をして、がんを助けることができなくする作用を持つ薬だ。

最適な治療間隔と薬の量を検証

研究グループは今回、固形がんの進行ステージの43人(うち20人は尿路上皮がん)にMEDI-573による治療を受けてもらい、薬の安全性や治療効果などを検証した。薬を受けるタイミングや量の割り付けは、人によって異なり、週1回0.5mg/kg、1.5 mg/kg、5mg/kg、10 mg/kg、15mg/kgのいずれか、または3週間に1回30 mg/kg 、45mg/kgのいずれかであった。

血液からIGFが消えた

その結果、5mg/kgよりも多い量のMEDI-573で治療を受けた人は、血液を調べたところ、IGF-1もIGF-2も両方検出されないレベルにまで抑えられていた。また、MEDI-573治療によって、インスリンや成長ホルモンなど、他の大切なホルモンのバランスが乱れることはなかった。

重篤な副作用はなし

一方で、10%以上の人に見られた副作用は、疲労感、食欲不振、吐き気、下痢、貧血だった。1人だけ高血糖の副作用が出たが、今回は、薬の量を減らさなくてはならないような、重篤な副作用は見られなかった。

がんの進行を止めた

今回の検証では、対象者が全員末期がんであったこともあり、がんが小さくなった人はいなかった。しかし全部で13人は、MEDI-573治療によりがんがさらに進行するのを食い止めることができた。この結果を受け研究グループは、次回の検証では、5mg/kgを毎週、または30mg/kgか45mg/kgを3週間に1回ずつ投与するのが良いだろうと見ている。

文献情報

Haluska P et al. Phase I Dose-Escalation Study of MEDI-573, a Bispecific, Antiligand Monoclonal Antibody against IGFI and IGFII, in Patients with Advanced Solid Tumors. Clin Cancer Res. 2014 ; 20: 4747-57.