スキルス胃がんは転移が早い

スキルス胃がんは転移が早く、特にがん細胞が腹膜に撒き散らしたような状態になる「腹膜播種」を起こしていることが多い。発見された時点で約60%の人が腹膜播種や広範囲のリンパ節転移が見られる。

この場合、手術が非常に困難なケースが多く、余命が短い・手術不適応などの場合も多い。また、化学療法などを行ってもあまり有効ではない上に、予後も良いと言えない現状だ。

スキルス胃がんは働き盛りの30〜40代女性に多く、発見時にはかなり進行して手術できないケースも多いため、5年生存率は手術ができた場合でも約15〜20%程度と言われている。

また、冒頭でもあるがスキルス胃がんは非常に転移しやすい上に、再発も起こしやすい特徴を持っている。主な転移・再発については下記の表を参考にして欲しい。

転移・再発 発見方法 特徴
リンパ節転移・再発 正常なリンパ節は小豆ほどの大きさだが、転移している場合は丸く腫れてしまうため発見しやすい。 胃がん初期は転移しにくいと言われているが、リンパ節転移を認められるケースがある。その場合、胃付近のリンパ節転移が多いため、胃がんとともにリンパ節も切除することで完治する可能性が高い。
腹膜転移・再発 腹水検査など。 胃の表面粘膜のがん細胞が胃壁を突き破って、内臓を包んでいる腹膜の至る所に転移するため、切除は困難で治療法も限られてしまう。
血行性転移・再発 腫瘍マーカーの高値により画像検査を受けて見つかることが多い。1cm以上の大きさであれは、ほぼCTでがんを見つけられる。 がん細胞が表面粘膜から胃壁内へ入ることで、胃壁内の血管から血流に乗り他の場所へ移動してしまう。胃がんの血行性転移の場所として多いのが肝臓になる。この場合も、手術での切除は困難になり治療法が限られる。

スキルス胃がんの主な治療法としては、外科手術、化学療法、放射線療法があるが、転移・再発の場合では手術による根治治療が不可能な場合が多い。また、切除手術で根治をしたとしても、再発の可能性は非常に高い。

転移が進んでいる場合や腫瘍が切除できない状態の場合において、選択される治療法は化学療法になる。ただ、化学療法や放射線療法の併用や手術の前後に化学療法を取り入れるなど、組み合わせて行うことが多い。

しかし、術後の化学療法においては、患者の体力が落ちていることもあり強い抗がん剤を用いることができない。そのため、体力がある術前に強めの抗がん剤を投与し、微小な転移がんを先に攻撃した後に原発巣を手術で切除する。

スキルス胃がんは未だ確実な治療法が確立されていない。それゆえに、治療の選択肢にはまだ多くの可能性があると言い換えることができよう。