抗がん剤の種類と副作用

がん標準治療の一種である化学療法で、その中核を担うのが抗がん剤治療だ。

抗がん剤の多くはDNAに働きかけることでがん細胞を死滅させる作用がある。特に全身に広がる微細ながん細胞などは手術での切除が困難な為、現在のがん治療において幅広く活用されている。

抗がん剤治療を開始すると、患者は新たな問題に直面することになる。それは抗がん剤の投与によって引き起こされる副作用だ。

「なぜ、副作用が起こるのか?」

その理由は、抗がん剤が活発な分裂を繰り返す細胞を攻撃するように作られているからであり、それが正常な細胞に対しても 行われてしまうからだ。
つまり、抗がん剤治療ではがん細胞の増殖や分裂を抑え、微小ながんを死滅させる効果を期待できる反面、同時に起こる強い副作用に対処していかなければならないのである。

抗がん剤による副作用の諸症状としては、吐き気、嘔吐、脱毛、白血球の減少、手足のしびれなど多岐にわたる。
幸い、抗がん剤の種類によって出やすい副作用が分かっているため、あらかじめ抗がん剤の投与前に副作用発生時を想定して準備をしておくことができる。

また、抗がん剤の中には精神的に作用し、うつ状態を引き起こしやすい種類のものがあるので注意したい。特に、インターフェロン類やホルモン剤のタモキシフェンは、稀に抑うつ症状を引き起こすケースがあると言われている。

もし、治療中に気分の落ち込みや食欲の低下、睡眠障害などのうつの諸症状を少しでも感じたなら、迷わず主治医や周りに伝えるようにして欲しい。
抗うつ薬や抗不安薬を併用したり、別の抗がん剤に変更するなどの選択肢の余地はまだまだ残されているからだ。

主な抗がん剤 名称(一般名) 主な副作用
アルキル化剤 イホスファミド/ニムスチン/シクロホスファミド/ダカルバジン 重い吐き気、骨髄抑制。
食欲不振、出血性膀胱炎、腎不全、排尿障害。
抗生物質 イダルビシン/エピルビシン/ダウノルビシン 重い吐き気、脱毛、骨髄抑制。
発熱、頭痛、悪寒、心臓や肝障害。
プラチナ(白金)製剤 カルボプラチン/シスプラチン 重い吐き気、脱毛、骨髄抑制。
腎障害、腎不全、アレルギー、聴力の低下。
代謝拮抗薬 ゲムシタビン/エノシタビン/シタラビン 比較的症状は軽い。
口内炎、発熱、発疹、アレルギー、肺炎。
分子標的薬 ゲフィチニブ/イマチニブ/トラスツズマブ 比較的症状は軽い。
発疹、かゆみ、下痢、むくみ。

医療の進歩に伴い、副作用を弱める対策は進められている。しかし、そもそも副作用の症状は個人差があり、投与する抗がん剤によっても大きく変わってくるものだ。
現時点では少なくとも副作用はあるものと想定して対策を講じ、万全の体制で抗がん剤治療に臨んでいただきたい。