肺がん治療-個別化治療

これまで画一的だった肺がん治療に変化が起きている。肺がんの標準治療では可能な限り手術で完全にがんを取り去ることを第一に目指す。現在も変わらず今後も変わることのないであろう最も有効とされる治療法だ。

次の選択肢は抗がん剤や放射線による治療だ。しかし満足のいく治療成績を得るのはまだまだ難しいのが現実だ。そこで新たに注目され始めているのが、患者1人ひとりにあった治療の可能性を探る「個別化治療」の動きだ。

それは患者1人ひとりの遺伝子変異のタイプにあわせた治療法だ。

人間の細胞は一定のサイクルで新しい細胞と入れ替わることで生命機能を維持している。ところがその時何らかの原因により傷を受けた細胞にDNA変異が起きる。

がんはこの度重なる遺伝子変異によって引き起こされるという。喫煙などが肺がんのリスク要因とされるのは、遺伝子変異の機会が増える可能性を指摘されているからだ。

この遺伝子変異には人によって様々なタイプが存在する。そのタイプに応じた治療をおこなえるというのだ。現在のところ「ALK融合遺伝子とEGFR遺伝子変異」という変異タイプが明らかになっているが、今後の解析が進めばさらに様々な変異タイプが明らかになるという。

同時に自己免疫の働きに着目した治療にも新たな動きが出始めている。度重なる遺伝子変異が起きても体の防御システムがうまく作動していればがんは発症しない。その証拠に健康な人でも毎日5,000個以上のがん細胞が体内でできていると言われるが、それが直ちにがんを発症したということにはならない。

エラーを起こした細胞をアポトーシス(細胞の自滅)に導いたり、免疫システムの攻撃により排除することができているからだ。言い換えれば、たとえがんを発症した後であってもアポトーシス(細胞の自滅)を作動させたり、免疫システムの攻撃を正常に行うことができれはがんに立ち向かうことができるという考えだ。

肺がんを克服するにはいかにその増殖・成長スピードに追いつき、さらには治療効果で追い越すことができるかどうかにかかっている。けして簡単なことではないが「あきらめる」のはまだ早い。手立ては必ずあるはずだ。