「手術してみないと、がんかどうかわかりません。」
卵巣がんは良性腫瘍との判別が難しく、医師からこう言われることもある。
切除しがんと診断され治癒しても、ステージが高ければ数年以内の再発率が非常に高く、転移の可能性も同時に考慮される。
そのため、無症状で進行しやすい卵巣がんは「沈黙の臓器」とも言われ、早期発見・治療が難しいと言えるがんなのだ。
そんな卵巣がんの可能性を調べる、一般的な検査方法はどんなものがあるのか紹介しよう。
卵巣がんの一般的な検査方法に、内診・超音波・直腸診・CT検査・MRI検査・腫瘍マーカーがある。
また、アンジェリーナ・ジョリーによって脚光を浴びた「遺伝子検査」もあげられる。アンジーが病院で行った遺伝子検査を細かく言ってしまえば、「遺伝学的検査」と言われるものだ。
しかし最近では、インターネットで注文できる「遺伝子検査キット」が広がっている。
これについては、科学的根拠を欠く製品もあるために、認定制度が導入されつつある。そのため、利用する場合には「あくまで遺伝子解析サービス」と認識して活用し、結果については占い程度で留めておくことが無難だろう。
話を戻すが、アンジーが行った「遺伝学的検査」は、乳がんや卵巣がんに関係があるとされているBRCA1とBRCA2の2つの遺伝子を調べることが可能で、この遺伝子に変異がある場合、乳がんや卵巣がんに罹患しやすいことが分かっている。
この検査は血液検査で行えるが、本人が50歳以下で乳がんを発症、近親者に乳がん・卵巣がん患者が多いなどの条件が必要なようだ。アメリカでは、予防切除した場合には発症リスクが約10%程度まで下がると言われている。
しかし、日本ではいまだにこの検査を行える施設が少ない上に、まだ健康な体にメスを入れるという倫理的な面で普及は鈍化している。
そのため、これまでに遺伝子の変異が見つかった方へは、がん検診の頻度を増やして早期発見・治療ができるように対応したり、場合によっては、変異タイプに合わせた抗がん剤を予防投与するケースもあるそうだ。