潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸の粘膜に炎症が起こる原因不明の病気です。
厚生労働省より特定疾患の一つに指定された難病で、下痢や出血、腹痛など様々な症状を良くなったり悪化したりを繰り返しながら長く継続します。
なぜ発症するのかという原因について世界中で研究されていますがまだ結論で出ておらず、従ってその治療も根本的な治療法はまだ確立されていません。
そのため症状や原因、治療法など、ある程度エビデンス(科学的根拠)が得られたものから、エビデンスに乏しいものまで、様々な情報が混在しているのが現状です。
そこで、厚生労働省より委託されたMinds(マインズ)というところが「潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン」を公開しています。
●潰瘍性大腸炎の重症度分類
重症 | 中等症 | 軽症 | |
---|---|---|---|
(1)排便回数 | 6回以上 | 重症と軽症 との中間 |
4回以上 |
(2)顕血便 | (+++) | (+〜−) | |
(3)発熱 | 37.5℃以上 | なし | |
(4)頻脈 | 90分/以上 | なし | |
(5)貧血 | Hb10g/dl以下 | なし | |
(6)赤沈 | 30mm/h以上 | 正常 |
潰瘍性大腸炎ガイドラインに掲載されている内容とは?
潰瘍性大腸炎ガイドラインは、医師が診療現場で参考にする指標として利用することを目的にまとめられたものです。
●潰瘍性大腸炎ガイドラインに掲載されている内容をまとめてみると・・・
- 潰瘍性大腸炎とはどのような病気ですか?
- 病期の分類について
- 診断と検査方法について
- 活動期の治療について
- 軽症から中等症の治療について
- 重傷の治療について
- 緩解期の食事療法や緩解維持療法について
- 潰瘍性大腸炎の外科治療について
- 潰瘍性大腸炎の経過と大腸がん発生リスクについて
- 小児期の潰瘍性大腸炎について
あくまで医師向けにまとめられたガイドラインですが、これらの内容が解説を交えながらある程度一般にもわかりやすく掲載されています。
科学的根拠に基づいて情報が分類されている
潰瘍性大腸炎ガイドラインの特徴は、各情報をエビデンス(科学的根拠)に基づいて整理し、「推奨グレード」で評価分類して掲載されている点です。
●ガイドラインに掲載された情報の「推奨グレード」一覧
A | 標準的な診療行為として行うことを強く推奨できる |
---|---|
B | 標準的な診療行為として行うことを推奨できる |
C | 標準的な診療行為として行うことを推奨できない |
D | 標準的な診療行為として行うべきでない |
I | エビデンスと専門家の意見が乖離し、標準的な診療行為として明確に推奨しにくい 1.専門家のコンセンサスは得られているが、エビデンスが不足する 2.エビデンスはあるが、専門家の評価は高くない |
例えば、「発症リスクや原因」についての頁を参考に見てみると、まだ原因が解明されていないという性質上、情報は「推奨グレードB」であったり「推奨グレードI」であったりしています。