
膵臓がんは膵臓の細胞から発生する悪性の腫瘍で、90%以上は膵管細胞に癌ができる膵管がんになる。
早期では特徴的な症状はなく、膵臓が細長い形なため、検査でも見つけずらく発見が非常に困難です。そのため、他の癌に比べ、死亡率が高く、死亡者数も年々増加傾向にあります。
膵臓がんを発症した芸能人をあげると・・・
千代の富士、スティーブ・ジョブズ、安倍晋太郎、坂東三津五郎など。
膵臓がんの原因
膵臓がんは、遺伝的な要因もあると考えられています。膵臓がんの患者さんのうち、家族に膵臓がんの病歴がある人は約6パーセントの結果が出ています。
欧米では、3人以上の親族が膵臓がんを発症している場合、そうでない人と比べ膵臓がんリスクは32倍になると発表されています。
また、下記のことが原因とリスクになると考えられています。
- 喫煙
- 糖分の多い炭酸飲料
- 他の膵臓の疾患を患っている
- 過度の飲酒
- 肉類や脂肪分の摂りすぎ
- ストレス
上記の危険因子のうち、喫煙は膵臓がんと関連していることが示されています。
またある調査では、喫煙したことのある日本人が膵臓がんにかかる危険性は、一度も喫煙したことのない人に比べ1.68倍高いという結果が出ています。さらに飲酒の習慣もあると、なお発症率が上がります。
喫煙と飲酒のどちらの習慣もある人では、そうでないグループと比べ、65歳以下の人では2.2倍、65歳以上の人では4.2倍も発症率が上がるというデータもあります。
コーヒーを多く飲む人は、膵臓がんになりやすいと言われてきましたが、近年では因果関係が否定されています。
膵臓がんの症状
膵臓がんは進行が早いにも関わらず初期症状がほとんどなく、8割近い患者さんが手術できない進行癌として発見されます。
比較的早期に膵臓がんが発見された患者さんのうち、15%は全く自覚症状がなかったという調査結果もあります。
膵臓がんが進行した場合、腹痛や食欲低下、体重減少、腰痛、背部痛、黄疸などが現れるようになります。
しかし、これらの症状は膵臓がんだけで膵臓がんと診断する事はできません。
早期に膵臓がん発見された段階で、患者が自覚していた症状を多い順は以下になります。
- 腹痛
- 黄疸
- 無症状
- その他不明
- 腰背部痛
- 体重減少
- 糖尿病の悪化
- 食欲不振
一番多い症状は腹痛、腰痛や背中の痛みも起こりがちです。
また、膵臓がんが糖尿病を併発するということもあるため、糖尿病との関係についても注意が必要です。
そのため、糖尿病の症状が出てきた、あるいは、糖尿病が急に悪くなってきたなどは、早めに検査をおすすめします。
膵臓がんの治療方法
膵臓がんを根治させるには外科手術により病巣部位を完全に切除する必要がありますが、発見が遅れた場合、切除できるのは、患者全体の20~30%程度しかいません。
手術の場合の術式としては、「膵頭十二指腸切除術」「膵体尾部切除術」「膵全摘術」などがあり、がんの部位や広がりによって最適の方法が選択されます。
手術が無理の場合は化学療法や放射線療法などが治療の中心となります。
放射線治療
放射線治療の種類には、化学放射線療法といわれる放射線治療と化学療法を組み合わせた治療があります。明らかな遠隔転移はないものの、がんが主要な血管を巻き込んでいる場合に行われます。
化学療法と組み合わせることで治療効果を高め、標準治療の1つとして推奨されています。
そして、もう一つが痛みなどの症状緩和を目的とした放射線治療があります。骨転移による疼痛などの症状を和らげる一つの方法として、実施されます。
薬物療法
術後補助化学療法
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1:ティーエスワン)単剤療法
- ゲムシタビン単剤治療
手術ができない場合や再発した場合の化学療法
- FOLFIRINOX療法 (フルオロウラシル[5-FU]+レボホリナートカルシウム+イリノテカン+オキサリプラチン)
- ゲムシタビン(ジェムザール)+ナブパクリタキセル(アブラキサン)併用療法
- ゲムシタビン単剤治療
- ゲムシタビン+エルロチニブ(タルセバ)併用療法
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1:ティーエスワン)
その他にも黄疸や胆管炎の影響で、手術や化学療法ができない場合もあります。たまった胆汁を排泄するため、細い管を胆道に留置する「胆道ドレナージ」を行うことがあります。
以下の方法がありますが、通常は体の負担が少ない内視鏡的胆道ドレナージが推奨されます。
- 内視鏡的胆道ドレナージ(ERBDもしくはENBD):内視鏡を用いて、胆管に細い管を挿入する方法
- 経皮経管胆道ドレナージ(PTBD):皮膚から肝臓を経由して胆管に細い管を挿入する方法