大腸がんの症状・治療・生存率について

大腸は、盲腸・結腸・直腸・肛門で構成されています。

そもそも大腸の働きとして、食物が消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収して大便にする器官になり、大腸菌や乳酸菌など腸内細菌が存在し、食物繊維の分解や感染予防の働きなどをしています。

大腸がんは、長さ約2mの大腸に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。

大腸がんの主な症状

早期の段階では自覚症状はないですが、特に多い症状として、血便、下血、下痢と便秘、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、原因不明の体重減少などがあります。

大腸がんの早期発見のためには消化器科、胃腸科、肛門科などを受診することが重要です。

進行大腸がんの主な症状

大腸がんは日本の医療では、リンパ節などの転移が見られるステージⅢであっても約8割は治るといわれているが、一方で遠隔転移を起しているステージⅣの場合、治療が困難である。

そのため早期に見つけられることがとても重要だが、進行するまで症状が出にくい特徴です。

出血 血便や下血。血が便に混ざる
下痢 腸液が多く出て下痢をおこすことがある
便秘 がんがある事で便が通過しにくくなり便秘をおこすことがある
腹痛 便通異常、腹膜炎、腸管破裂などによる痛み
体重減少 大量の栄養消費がもたらす原因不明の体重減少
転移先の症状 肺や肝臓など遠隔転移先の症状
その他 腸閉塞や嘔吐

自覚症状が現れた時点では、ある程度大腸がんが進行している状態であるため、早期発見が鍵となる。



大腸がんの早期発見となる検査内容

便潜血検査 便に血が混じっているかを調べる検査
内視鏡検査 肛門から内視鏡を挿入、病変の範囲や深達度を調べる。病変があれば採取し生検をおこなう
直腸診 肛門から直接指を入れ、直腸内に腫瘍などの異常がないかを検査する
注腸造影検査 肛門からバリウムと空気を注入し、大腸全体をX線撮影し検査する。がんの大きさや位置などを調べる
血液検査 CEAやCA19-9、p53抗体などの腫瘍マーカーを検査る
・CEA:2.5(ng/ml:RIA法)以下/5.0(ng/ml:EIA法)以下
・CA19-9:37U/ml以下
・p53抗体:1.30以下
・STN:45U/ml以下
・NCC-ST-439:7.0(U/ml:EIA法)以下
CT、MRI検査 CT検査はX線を、MRI検査は磁気を使用し、造影。周辺臓器へのがんの広がりや転移を調べる
超音波検査 超音波により周辺臓器との位置関係や転移を調べる
PET検査 放射性ブドウ糖液を注射し、細胞への取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出

大腸がんの推奨される標準治療について

大腸がんの治療法は、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法などがあります。
これらを組み合わせての治療になりますが、患者さんの状態や、がんの進行度などによって決められます。

大腸がんの進行度は、ステージ0からステージⅣまでの5段階に分類されます。
それぞれのステージの患者には、科学的根拠(エビデンス)に基づいて効果の高さが確かめられ広く行われている治療法の「標準治療」が推奨されます。

治療法 治療内容
内視鏡治療 大腸の内側からがんを切除する方法。大腸の内部を直接観察でき、切除した病変を詳しく診断できるため、診断と治療の2つの目的のために行われます。病変の表面の様子を拡大できる拡大内視鏡を用いることで、より精密な検査、診断、治療が可能。治療の適応は、早期の大腸がんで深達度が粘膜にとどまっており、リンパ節に転移している可能性がないという場合になります。
手術
【結腸がん】
がんの部位から両側に10cmほど離れたところを切除し、縫い合わせる。手術法は回盲部切除術、結腸右半切除術、横行結腸切除術、結腸左半切除術、S状結腸切除術など。
手術
【直腸がん】
排尿機能と性機能を調節する自律神経を手術中に確認し、自律神経を残す自律神経温存術が行われます。全ての神経が残せれば、手術前と同様な機能を保つことが可能ですが、がんが自律神経の近くの場合、神経を切除する手術が必要な場合もあり、機能障害が起こる可能性があります。
腹腔鏡下手術 炭酸ガスで腹部をふくらませ、専用のカメラや器具で手術を行う方法です。通常の開腹手術に比べ創が小さいため、手術による体の負担が少なく、手術後の回復も早いため、手術件数は年々増加していますが、通常の手術より合併症の発生率がやや高くなる可能性も指摘されている。
バイパス手術 がんにより大腸がふさがってしまった場合に迂回路をつくる手術で、食べ物の流れを確保するために行う。
放射線治療 骨盤内からの再発の抑制、手術前のがんの大きさを縮小、肛門を温存するなどを目的として行う補助放射線治療と、切除が難しい骨盤内のがんによる痛みなどの症状緩和を目的で行う緩和的放射線治療がある。
化学療法 手術と組み合わせて行われる「補助化学療法」と、手術による治癒が難しい状況で延命や症状コントロール目的で行われる「緩和的化学療法」がある。緩和的化学療法は、大腸がんを完全に治すことが難しい場合、がん自体の進行を抑え、延命および症状を軽減することを目標として行われる。また、副作用の対策が進歩したことから、外来通院で日常生活を送りながら化学療法を受けることができるようになっている。




大腸がんの原因について

大腸がんは近年罹患率、死亡率ともに高まっており、特に女性のがんでは大腸がんが死亡率第1位となっている。
主な発症要因はいくつかあるが、代表的なものとして以下のものが挙げられる。

食の欧米化 たんぱく質やカロリーの過剰摂取
肥満 特に男性において肥満によるリスクが指摘
運動不足 適度な運動が大腸がんのリスク軽減に有効
たばこ たばこ含まれる発がん性物質の影響が指摘されている
過度の飲酒 過度の飲酒はリスク要因の一つ
体質 ポリープが繰り返しできやすい方、大きさが大きい方はリスクが高い。また、潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸疾患を長期間患う場合もリスクを高める
遺伝 家族に大腸がんを患った方がいる場合はリスクが高い

とはいえ、大腸がんのはっきりした原因はいまだ解明されていない。

大腸がんの予防・効果のある食べ物として

大腸は食べた物から栄養・水分を体に吸収させ、要らないものを便として排出させる器官です。

食べた物が大腸へ送られていき、余分な物を排出するまでの期間、ずっと停滞させておきます。そのため大腸は、あなたが食べたもの、または習慣的に食べているものの影響が特に出やすい場所と言えます。

状態によって、以下に挙げたものについて注意しましょう。

【 手術後の好ましい食品 】
お粥、うどん / 鶏ささ身、牛肉・豚肉の赤身、スズキ、サケ / 豆腐、きな粉 / カボチャ、大根、トマト / 牛乳、ヨーグルト、チーズ、卵 / じゃがいも、里芋、りんご、バナナ、桃 / 植物油、バター / 麦茶、ゼリー類、ビスケット、カステラ・・・など
【 注意すべき食品 】
玄米、胚芽、全粒粉入りパンや麺、ラーメン / 脂肪の多い肉、貝類、イカ、タコ / 大豆(炒り大豆、煮豆)硬い枝豆 / 食物繊維が多く固い野菜、干し野菜の漬物 / さつまいも、こんにゃく、繊維が多い果物 / 動物性油脂、辛味調味料 / アルコールや炭酸などの刺激物、揚げ菓子・・・など




大腸がんのステージ別再発率

ステージ 再発率 状態
ステージ0 最も軽度で大腸粘膜の中にがんがとどまっている
ステージⅠ 3.7% 大腸の内壁の筋層までにとどまっている。リンパ節への転移なし。
ステージⅡ 12.5% 大腸の内壁の筋層を超えて周囲に広がっている
ステージⅢa 24.1% 3個以下のリンパ節に転移している
ステージⅢb 40.8% 4個以上のリンパ節に転移している
ステージⅣ 肝臓や肺、腹膜などの離れた臓器に転移している

大腸がんステージと5年相対生存率

ステージ 5年相対生存率
ステージ0 94%
ステージI 91.6%
ステージII 84.8%
ステージIIIa 77.7%
ステージIIIb 60%
ステージIV 18.8%