
子宮体がんと子宮頸がんに分かれており、子宮体がんは子宮内膜がんともよばれ、子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めます。
子宮体がんは胎児を育てる子宮体内部の内側にある子宮内膜から発生し、子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分から発生することが多いので、普通の婦人科の診察で観察や検査がしやすいため、発見されやすいといわれています。
また、早期発見であれば比較的治療しやすく、予後のよい癌ですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要になります。
20歳代後半以降が多く、30代後半でピークを迎えます。以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性にも増えてきているのが特徴です。
子宮頸がんの検査と診断
検査内容としては、性交経験が1回でもあれば10代でも受けることができ、短時間でできる検査です。
子宮の入り口付近の子宮頸部の粘膜面に発生する癌が子宮頸がんであり、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で起こることがわかっています。
HPVはとてもメジャーなウイルスで、性交渉の経験のある女性の約80%が感染を経験します。しかし、感染してもほとんどは自然消失するため、癌にはなりませんが、ウイルスが消失せず感染が長く続くと、癌になる可能性があります。
そのため検査は、子宮頸部の粘膜細胞を取り、顕微鏡での検査で、早期に発見するための検査になります。痛みや出血もほとんどありません。
万が一、異常が見つかった場合は精密検査として組織診、コルポスコープ診を行います。がんの広がりをみる検査としては、内診、直腸診、超音波検査、CT、MRIなどがある。また膀胱鏡、直腸鏡、尿路検査などが行われることもあります。検査結果は1~2週間後に分かります。
子宮頸がんの初期症状
通常、初期の子宮頸がんでは症状がほとんど出ません。子宮頸がんでは、異形成(いけいせい)という前がん状態を経て、癌に進行していきます。
よって、日頃から自分自身の身体の出すサインを見逃さないように、体調の変化に対する観察力が必要となります。
子宮頸がんを発症すると性交時の出血や不正出血、おりものの異変といった症状が出る方もいます非常に分かりづらいものとなっています。
おりものに微量の糸を引いたような出血、排尿後に使用したトイレットペーパーがほんのわずかに色づくなどがありますが、見逃してしまうほど小さなものです。
子宮頸がんが進行すると、不正出血や性交時の出血がひどくなりますが、生理日が不順な人などは見逃してします場合もあります。
さらに進行し、転移するくらいになってしまうと激しい下腹部痛に襲われる人もいますが、下腹部痛が起きるまで進行してしまうと治療も難しくなる場合がありますので、冒頭でもお伝えしたように日頃の検診が重要になってきます。
子宮頸がんのステージ
子宮頸がんでは、日本産科婦人科学会をはじめとする複数の学会が編纂する「子宮頸癌取扱い規約」による分類が広く用いられおり、子宮頸がんのステージは、他のがんと比べると細かく分かれている点が特徴です。
Ⅰ期 | |||
Ⅰ期 | ⅠA期 | 組織学的にのみ診断できる浸潤がん(肉眼では病変を確認できない段階) | |
ⅠA1 | 間質浸潤の深さが3ミリ以内で、広がりが7ミリを超えないもの | ||
ⅠA2 | 浸潤の深さが3ミリを超えるが5ミリ以内で、広がりが7ミリを超えないもの | ||
ⅠB期 | 肉眼的に見えるがん | ||
ⅠB1 | 病巣が4センチ以内のもの | ||
ⅠB2 | 病巣が4センチを超えるもの | ||
Ⅱ期のステージ分類 | |||
Ⅱ期 | ⅡA期 | がんが子宮頚部を超えて広がっているが、膣壁の下1/3または骨盤壁に達していない | |
ⅡA1 | 病巣が4センチ以内のもの | ||
ⅡA2 | 病巣が4センチを超えるもの | ||
ⅡB期 | がんが子宮頚部の周辺組織にまで広がっているが、骨盤壁にまで達していない段階 | ||
Ⅲ期のステージ分類 | |||
Ⅲ期 | ⅢA期 | 膣壁の下3分の1に達しているが、子宮頚部の周辺組織への広がりは骨盤壁にまで達していないもの | |
ⅢB期 | 骨盤壁にまで達している、もしくは腎臓と膀胱をつなぐ尿管が、がんによって圧迫され、水腎症など腎機能に明らかな障害が出ているもの | ||
Ⅳ期のステージ分類 | |||
Ⅳ期 | ⅣA期 | 膀胱や直腸の粘膜に広がっているもの | |
ⅣB期 | 小骨盤腔を越えて転移しているもの |
子宮頸がんの生存率
子宮頸がんの生存率はデータによると診断された場合の5年生存率は72.2%といわれていおり、全体的な数字になります。
子宮頸がんは初期段階で発見されることが多く、ステージ4まで進行している件数は全体の1割ほどです。子宮頸がんのステージ4は遠隔転移や膀胱・直腸などへの浸潤を起こしているため、5年生存率が一気に低くなります。
転移していない場合の5年生存率は92.9%。子宮頸がんが所属リンパ節に転移した場合の5年生存率は55.2%、肺など子宮頸がんが遠隔転移した場合の5年生存率は8.3%といわれています。
子宮体がんと診断された場合、転移していないなら5年生存率は94.0%となっており、所属リンパ節に転移した場合5年生存率は64.6%、肺などへ遠隔転移している場合には5年生存率は25.9%になります。