悪性リンパ腫の種類と症状チェック~治療法や生存率は?

悪性リンパ腫とは血液がんの1つであり、白血球の中のリンパ球ががん化したものです。このリンパ球には、B細胞、T細胞、NK細胞などがあり、がん化し無制限に増殖することで発症します。

悪性リンパ腫が発生する部位は、リンパ系組織とリンパ外臓器の2つに大きく分けられます。

リンパ系組織は、細菌やウイルスなどの病原体を排除する機能がある免疫システムの一部で、リンパ節をつなぐリンパ管やその中を流れるリンパ液、胸腺、脾臓 、扁桃などの組織や臓器です。

リンパ外臓器は、胃、腸管、甲状腺、骨髄、肺、肝臓、皮膚などで、リンパ系の組織や臓器は全身にあるため、全身の部位で発生する可能性があります。

松方弘樹さんは悪性リンパ腫でも珍しい脳リンパ腫

2017年1月21日にお亡くなりになった俳優の松方弘樹さん(74)はこの悪性リンパ腫の種類にあたり、脳や脊髄、眼球などの中枢神経系にできる脳リンパ腫によるものです。

脳リンパ腫は、正確には「中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)」といい、50~80歳代の中高年の方、特に男性に発症することが多い病気であり、患うと精神症状や頭痛、嘔吐などの症状が現れます。脳リンパ腫の発症率は10万人にひとりという珍しい病気で進行がかなり早いというのが特徴です。

また、手術の難しい脳腫瘍な上、抗癌剤も限られたものしか使えないということで非常に治療が困難です。

悪性リンパ腫の種類

悪性リンパ腫にはたくさんの種類がありますが、大きく分けて、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類されます。

さらに、非ホジキンリンパ腫は細かく分けることができます。リンパ球にはB細胞、T細胞、NK細胞の3種類があり、どれもがん化する可能性があります。

日本での悪性リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫が約90%の大半を占め、ホジキンリンパ腫は約10%と少数となります。種類によって病気の進行度が異なり、進行度でも分けることができます。



非ホジキンリンパ腫の特徴

悪性リンパ腫のうち約90%を非ホジキンリンパ腫が占めており、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫とも全身に広がる可能性があるが、非ホジキンリンパ腫のほうがその可能性が高くなっています。

非ホジキンリンパ腫は、リンパ球の種類から、B細胞性、T細胞性、NK細胞性などに分類(病理学的分類)されるほか、診断された病気を放置しておいた場合に予測される進行速度によっても分類されます。悪性度と病理組織学的分類を組み合わせることでそれぞれの患者さんに適した治療法が決まります。

ホジキンリンパ腫の特徴

悪性リンパ腫のうちの約10%にあたり、ホジキンリンパ腫は非ホジキンリンパ腫に比べ、治癒する可能性の高い(約65~80%)病気です。ホジキンリンパ腫は、さらに古典的ホジキンリンパ腫、および結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫に分けられます。
現在は抗がん剤治療や造血幹細胞移植などの進歩により、悪性度の高いリンパ腫でも治癒が期待できます。

悪性リンパ腫の症状・初期から末期まで

悪性リンパ腫の初期症状

悪性リンパ腫の初期症状は、首やわきの下、足の付け根などのリンパ節が腫れ、痛みの伴わないしこりが見られ、徐々に大きくなって行き、小さくなりません。

また進行すると、何箇所も腫れが現れ、数週間続く発熱・体重減少・寝汗といった症状も見られます。その他にも、皮膚のかゆみや発疹があらわれることもあります。

  • リンパ節の腫れ
  • 発熱、微熱が続く
  • 体重の減少
  • 体が痒み
  • 著しい量の寝汗が出る

また、大きくなった腫瘤によって、血管や気道、脊髄が圧迫され、血流が妨げられたり、呼吸がしずらい、身体の麻痺などが起こることがあり、緊急治療が必要となる場合もあります。

特徴としては進行の速さにより、年単位で進行するタイプもあれば、月単位、週単位で進行するタイプがあります。

悪性リンパ腫の末期症状

末期症状に近づくにつれ、体のだるさ、落ちこみやすくなる、イライラしやすくなるということもがあります。また、しこりは初期段階から、全身に広がっていくのが一般的で、発熱、体重の減少、睡眠時の発汗、これら3つ症状は悪性リンパ腫の代表的な症状で、通称「B症状」と呼ばれています。

このB症状が出るほどまで進行すると、基本的に予後は悪くなるケースが多いと言われています。

各リンパ節に発生した悪性リンパ腫はどんどん肥大化していくため、末期になるとがんの腫瘍が脊椎・内蔵・気道・血管などを圧迫すると、気道閉塞、血流障害、脊椎圧迫による麻痺などの障害が起こることもあります。

転移場所によって、食欲不振・悪心・嘔吐・イレウス様症状・黄疽・腹水などが現れ、感染症を合併することもあります。

こうした症状が突如現れた場合は、早急に治療を行わなければ命を落とす危険性があります。

肺、気管などに広がると咳が続き、呼吸困難になったり、肝臓の場合は腹水や黄疸症状、腹部に転移するとむくみが出たり、尿路障害を起こしたり、骨に広がると骨痛を生じることもあります。

悪性リンパ腫の予後と生存率

悪性リンパ腫には、前述で述べたようにホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫がありますが、それぞれ生存率・完治率・再発率が異なります。ここでは、5年生存率という数値を基に以下の目安があります。

ホジキンリンパ腫の場合
ステージ1 生存率:約90%
ステージ2 生存率:約80-90%
ステージ3 生存率:約65-80%
ステージ4 生存率:約40-65%

ホジキンリンパ腫の場合、予後が良好なケースが多いです。

非ホジキンリンパ腫の場合
ステージ1 生存率:約70-90%
ステージ2 生存率:約70-80%
ステージ3 生存率:約50-70%
ステージ4 生存率:約50-65%
非ホジキンリンパ腫の場合、一概には言えませんが、ホジキンリンパ腫と比べると予後が不良になるケースが多いです。

しかし、ステージ1から2の場合、放射線治療によって約半数が完治できるとされています。また、ステージ3から4であっても、適切な処置を行うことで平均生存率は10年とされていますが、あくまでも余命や生存率は主治医の判断にもよります。

悪性リンパ腫の治療

悪性リンパ腫の治療法は病型と病気の広がりにあわせて決定されます。治療法としては次のようなものがあります。

放射線療法
腫瘍の成長を遅らせるため、縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存ができます。また、がんの局所療法であるため、身体への影響が少なく、高齢者にも適応できる治療法です。
化学療法(抗がん剤)
がん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。

生物学的製剤
リンパ腫の種類によって、リツキサンと呼ばれる薬剤を従来治療と併用するようになってきており、治療効果が格段に上がりました。直接がん細胞を攻撃したり、元々体内に備わっている別の免疫機能を介してがん細胞を死滅させたりします。

造血幹細胞移植
標準的な抗がん剤治療や放射線治療を行っても再発する可能性が高いと判断された場合、大量の抗がん剤投与や放射線照射を行うことがあります。血液を正常な状態に回復させるため、ご自身やドナーから血液のもととなる細胞(=造血幹細胞)を移植するという方法になります。

経過観察
進行が遅い型のリンパ腫の場合、無症状のまま何年も経過する場合があります。そのため、「悪性リンパ腫」と診断がついてもすぐに治療を始めず、定期的な診察で状況をみていくこともあります。症状が出てから治療を行うという選択です。